「フォームからの問い合わせは増えているのに、商談の数が変わらない」。法人向けの商材で広告を回していると、この報告がどこかのタイミングで出てきます。広告の管理画面ではコンバージョン数が伸びていて、単価も下がっている。それなのに営業からは「今月も動きがない」と言われる。

原因は、広告の設定より手前にあることが多いです。広告がゴールにしている地点と、事業がゴールにしている地点がずれている。 フォーム送信で終わっている数字を、商談の数だと思って読んでいる。この状態では、広告をどれだけ調整しても事業の数字は動きません。

この記事では、広告・ランディングページ・フォーム・インサイドセールス・商談のそれぞれが何を担うのかを分けたうえで、商談化までの結果を広告へ戻す設計までを順に整理します。消費者向けの前提では埋まらない、法人特有の分業の話です。

こんなふうに調べていませんか

  • 「BtoB広告 リード獲得」で検索して、コンバージョンをどこに置くか迷っている
  • 問い合わせは増えたのに商談が増えず、社内で説明を求められている

この記事を読み終えたときに手に入るもの

  • 広告・LP・フォーム・インサイドセールス・商談の分担を、1枚で説明できるようになります
  • フォーム送信をゴールに置いたときに何が起きるかを、先回りして防げるようになります
  • 商談化までの成果を広告へ戻す手順を、自社の体制に当てはめて選べるようになります

結論30秒でわかる、この記事の結論

  • フォーム送信はゴールではなく中間地点です。そこで止めた設計のまま自動入札に任せると、商談にならないリードが増えやすくなります。
  • 商談までの道のりを工程に割り、どこを広告が担い、どこから人が担うかを先に決めます。
  • 商談化や受注の結果は、識別子を保存しておけば広告側へ戻せます。戻して初めて、入札が事業のゴールを向きます。
問い合わせは増えたのに、商談が増えないとき止まっているのは広告の設定より、たいてい手前です問い合わせは増えたのに、商談が増えないとき見立て送信は通過点にすぎないゴールに据えると入札がずれる整理どこまでを広告が持つか受け皿から先は別の担当接続商談になった事実を返す返して初めて入札が向く鈴木さん止まっているのは広告の設定より、たいてい手前です
問い合わせは増えたのに、商談が増えないとき — 止まっているのは広告の設定より、たいてい手前です

本記事の内容は、Google広告ヘルプおよびMicrosoft Advertisingの公式ドキュメントで2026-08-28に確認したものです。仕様は変わることがあるため、実装前に各媒体の最新の記載を確認してください。

01BtoB広告のリード獲得は、Web広告の何がBtoCと違うんですか?

若葉さん
若葉さんの発言

法人向けの広告って、消費者向けと何が違うんでしょうか。出す媒体は同じですよね。

鈴木さん
鈴木さんの発言

媒体は同じです。違うのは、買う人が1人ではないことと、決めるまでが長いこと。この2つが、計測にも入札にも効いてきます。

違いは4つに整理できます。

1つ目は、決める人が複数いること。情報を集める担当者、使う現場、承認する管理職、稟議を通す決裁者。広告に触れるのは、多くの場合いちばん手前の担当者で、その人は買う権限を持っていません。

2つ目は、検討が長いこと。資料請求から受注まで、数か月から年単位に及ぶ商材もあります。広告の計測期間の中で結果が出ず、成果が紐づかないまま終わります。

3つ目は、1件の価値が大きく、ばらつくこと。同じ問い合わせでも、対象外の規模の会社からのものと、狙っていた業種の大手からのものでは意味がまったく違います。件数だけを見る指標では、この差が消えます。

4つ目は、成果がオンラインで完結しないこと。商談も、見積もりも、契約も、計測タグが届かない場所で起きます。放っておくと、広告側には「フォームが送信された」という事実しか残りません。

同じ媒体でも、法人向けは前提が入れ替わる設計を変える理由は、この4点にあります同じ媒体でも、法人向けは前提が入れ替わる設計を変える理由は、この4点にあります個人が買うとき読んだ本人が決めるその場で決まることが多い1件の重みがそろっている購入まで画面の中で完結する計測は最後まで追いかけられる会社が買うとき調べる人と決める人が別稟議と予算の周期に縛られる1件の重みが大きく散らばる決まるのは会議室と契約書の上計測はタグの届かない場所で切れる
同じ媒体でも、法人向けは前提が入れ替わる — 設計を変える理由は、この4点にあります

この章のまとめ

違いは、決める人が複数・検討が長い・1件の価値がばらつく・成果が計測の外で起きる、の4点。

02商談までの道のりを、広告運用ではどこで区切るんですか?

道のりを工程に割ると、どこで何が起きているかを分けて話せるようになります。ここでは5つの工程に割ります。

① 見つけてもらう(広告)。接点を作る工程。担当は広告運用。

② 理解してもらう(ランディングページ)。何の商材で、誰の何を解決するのかを伝える工程。担当はマーケティング。

③ 名乗ってもらう(フォーム)。連絡先と、必要な情報を受け取る工程。担当はマーケティングと情報システム。

④ 話をつなぐ(インサイドセールス)。連絡し、話を聞き、商談に値するかを見きわめる工程。担当は営業組織。

⑤ 商談する(フィールドセールス)。提案し、条件を詰め、受注に至る工程。担当は営業。

誰の担当かが変わる場所を、先に見つける継ぎ目に立つ人がいないと、そこで数が落ちます誰の担当かが変わる場所を、先に見つける継ぎ目に立つ人がいないと、そこで数が落ちます1接点をつくる運用担当が持つ2読んで納得させる制作と企画が持つ3名乗ってもらう情報システムと共同4電話でつなぐ内勤の営業が持つ5提案して決める外勤の営業が持つ鈴木さん止まりやすいのは3番目と4番目の間です
誰の担当かが変わる場所を、先に見つける — 継ぎ目に立つ人がいないと、そこで数が落ちます

この5つを一枚の紙に書き出すと、たいてい2か所で会話が止まります。「フォーム送信のあと、誰がいつ連絡するのか」と、「商談になったかどうかを、誰がどこに記録するのか」。この2つが決まっていないと、後半の設計はすべて絵に描いた餅になります。

高梨課長
高梨課長の発言

うちは、フォームが送信されるとメールが飛ぶだけです。そのあとは営業がそれぞれ動いています。

鈴木さん
鈴木さんの発言

よくある形です。悪いのは「それぞれ」の部分ではなく、記録が残らない部分です。誰がどう動いたかが残っていないと、広告側は良し悪しを学べません。

この章のまとめ

道のりを5つの工程に割る。止まるのは「送信後の連絡」と「商談化の記録」の2か所。

03フォーム送信をゴールにすると、Web広告のリード獲得は何を見失いますか?

コンバージョンをフォーム送信に置くこと自体は、間違いではありません。そこで止めることが問題です。

自動入札は、渡された成果地点に向けて配信を寄せていきます。成果地点がフォーム送信であれば、フォームを送信しやすい人へ寄っていきます。フォームを送信しやすい人と、商談になる人は、同じではありません。情報収集の段階で資料だけ集める人、学生、同業他社、対象外の規模の会社。どれもフォームは送信します。

入札へ渡す成果を、1つにするか段にするか渡した形のとおりに、配信の寄り先が決まります入札へ渡す成果を、1つにするか段にするか渡した形のとおりに、配信の寄り先が決まります1つだけ渡す送信の回数だけを成果にする資料集めの人も同じ重みで数える単価は下がる/営業の手応えは変わらない段に分けて渡す入口の成果は残したまま持つ話が進んだ段にも別の名前を付ける金額の重みを段ごとに変えて渡す
入札へ渡す成果を、1つにするか段にするか — 渡した形のとおりに、配信の寄り先が決まります

その結果、レポート上はこうなります。コンバージョン数は増える。獲得単価は下がる。担当者は改善したと報告する。営業からは「質が落ちた」と言われる。どちらも正しいことを言っています。見ている地点が違うだけです。

対処は、成果地点を1つに絞らないことです。フォーム送信は残したうえで、その先に商談化や受注を別の成果として置き、重みを変えて渡します。渡し方は後の章で扱います。

この章のまとめ

フォーム送信だけを渡すと、入札はフォームを送りやすい人へ寄る。地点を分けて重みを変える。

04BtoB広告のリード獲得で、広告運用が担う範囲はどこまでですか?

分業の境界を先に決めておくと、数字が動かないときの原因の切り分けが早くなります。

広告運用が責任を持つのは、適した人を、適した状態で、受け皿まで運ぶところまでです。具体的には、誰に届けるか(ターゲティング)、どんな言葉で伝えるか(クリエイティブ)、どこへ着地させるか(リンク先)、いくらで運ぶか(入札と予算)。ここまでが広告の範囲です。

一方、広告運用が単独では動かせないものもあります。ランディングページの構成。フォームの項目。連絡までの速さ。商談の質。提案の内容。価格。これらが原因で数字が動かないとき、広告側だけを調整しても改善しません。

大森部長
大森部長の発言

では、広告の担当者に何を評価すればいいんだ。

鈴木さん
鈴木さんの発言

運んだ人の量と質、そして単価です。商談化率まで広告の担当者の評価に含めると、自分で動かせないもので評価されることになり、安全側の運用に寄ってしまいます。

境界の確認は、この問いで足ります。「この数字が悪化したとき、誰が最初に手を打つのか」。答えが出ない指標は、まだ誰の担当でもありません。

この章のまとめ

広告の責任範囲は、適した人を受け皿まで運ぶところまで。受け皿から先は別の担当が持つ。

05ランディングページとフォームは、Web広告の成果をどう変えるんですか?

法人向けの受け皿には、消費者向けとは違う条件がいくつかあります。

まず、読む人が説明する立場にあること。担当者は、社内で上長に説明するために情報を集めています。価格の考え方、導入までの流れ、既存システムとの関係、サポート体制といった「持ち帰れる情報」が要ります。

次に、フォームの項目が二重の役割を持つこと。項目を増やせば送信数は減りますが、受け取った側は絞り込みができます。減らせば送信数は増えますが、誰から来たのか分からないまま営業が電話することになります。後工程の体制で決まる判断です。連絡できる人数が限られているなら、項目を増やして絞ったほうが全体では速くなります。

受け皿が持ち帰れる形になっているか読む人は、社内で説明する立場にいます受け皿が持ち帰れる形になっているか読む人は、社内で説明する立場にいます費用の考え方と、導入までの流れが書いてある既存の仕組みとの関係と、支援体制に触れている会社名・部署・規模を、必須と任意に振り分けてある送信後にいつ誰から連絡が来るかを明記している個人情報の扱いへの導線が、送信ボタンの近くに無いここが欠けていると掲載自体が止まります
受け皿が持ち帰れる形になっているか — 読む人は、社内で説明する立場にいます

法人向けでよく足りない項目は、会社名、部署、役職、従業員規模、導入時期の目安、検討状況です。すべてを必須にする必要はありません。必須と任意を分け、任意でも答えてくれた人を優先して連絡する運用にすると、送信数を落とさずに優先順位がつきます。

Google広告のリードフォーム アセットを使う場合は、ポリシー上の条件もあります。公式のポリシーヘルプは、広告主のプライバシーポリシーを定めていることと、リードフォーム作成時にそのリンクを含めることを求めています。また、成人向け、アルコール、ギャンブル、ヘルスケア、政治といった分野のコンテンツの広告では、リードフォームを使用できないとされています(出典: Google広告ポリシーヘルプ)。

この章のまとめ

受け皿は「持ち帰れる情報」を載せる。フォームの項目数は、後工程の連絡体制から逆算して決める。

06インサイドセールスへの受け渡しは、リード獲得と広告運用で何を揃えるんですか?

ここが分業のいちばんの継ぎ目です。継ぎ目が緩いと、前工程の努力がそのまま漏れます。

揃えるものは3つあります。言葉の定義、受け渡しの経路、戻ってくる情報です。

言葉の定義とは、「リード」「有効リード」「商談」がそれぞれ何を指すかを、部署をまたいで1つに決めることです。マーケティングが「リード30」と言い、営業が「商談は0」と言うとき、たいていは同じものを別の言葉で数えています。定義が揃うまで、数字の議論は前に進みません。

受け渡しの経路とは、フォームが送信されてから担当者の手元に届くまでの道筋です。メール通知だけに頼ると、見落としと遅れが起きます。Google広告のリードフォーム アセットの場合、受け取り方はCSVのダウンロード、メール通知、Webhookでの送信、APIやZapier経由でのCRMへの連携が用意されています。ここで注意したいのが保存期間で、公式ヘルプはリードをGoogle広告側で60日間保存し、CSVでダウンロードできるのは過去30日間分と説明しています(出典: Google広告ヘルプ)。手作業のダウンロードに頼る運用は、期限切れで消える前提になります。

継ぎ目の取り決めは、この順で作る順番を逆にすると、作った連携が使われません継ぎ目の取り決めは、この順で作る順番を逆にすると、作った連携が使われません1同じ言葉を、同じ意味で使えるようにする数える対象がそろうまで、集計の議論は前へ進みません2手渡しをやめて、届く道を自動にする通知メールを開いた人しか気づけない状態を解消します3返してほしい情報を、名指しで頼む何を書けば広告側が学べるのかを、営業側に具体で伝えます
継ぎ目の取り決めは、この順で作る — 順番を逆にすると、作った連携が使われません

Metaのリード獲得広告も考え方は同じです。開発者向けドキュメントは、新しいリードが送信されるたびに通知を受け取るWebhookと、まとめて取得するGraph APIの2つの経路を示し、CRMとの連携に使う想定を説明しています(出典: Meta マーケティングAPI)。

高梨課長
高梨課長の発言

連携の開発となると、情報システムに依頼が要ります。すぐには動きません。

鈴木さん
鈴木さんの発言

それなら、まず定義だけ先に揃えてください。開発が終わるまでの間も、言葉が揃っていれば手作業の集計で議論はできます。逆に、連携だけ先に作っても、定義が違えば数字は噛み合いません。

この章のまとめ

揃えるのは、言葉の定義・受け渡しの経路・戻ってくる情報の3つ。まず定義から。

07リード獲得の質は、広告運用のどの数字で見分けるんですか?

質を見るには、リードを分けて数える必要があります。分け方は2つの軸で足ります。

1つ目の軸は適合度。自社が想定している顧客像に、どれだけ合っているか。業種、規模、地域、役職などで判断します。2つ目の軸は今すぐ度。いま検討しているのか、情報収集の段階なのか。

同じ1件でも、扱いは4通りに分かれる合っているかと、急いでいるかは別の話です同じ1件でも、扱いは4通りに分かれる合っているかと、急いでいるかは別の話です時間をかけて温める狙いどおりの相手。連絡を絶やさず状態の変化を待つ最優先で電話するここを取りこぼすと、広告費の意味がなくなる配信の当て先を見直す語句と訴求のどちらがずれたのかを切り分ける丁寧に断り、記録を残す断った理由が次の除外設定の材料になる狙いに合うか →(下:外れている / 上:合っている)急いでいるか →(まだ先 / いま動く)
同じ1件でも、扱いは4通りに分かれる — 合っているかと、急いでいるかは別の話です

この2軸で分けると、広告の見方が変わります。適合度が低いリードが増えているなら、原因はターゲティングかクリエイティブ、あるいは訴求の言葉です。適合度は高いのに今すぐ度が低いリードばかりなら、それは失敗ではなく、育てる対象が増えたということです。後者を「質が悪い」と切り捨てると、将来の商談を捨てることになります。

広告側のレポートに追加したい列は、フォーム送信数だけではありません。適合するリードの数、そのうち連絡がついた数、商談になった数、そしてそれぞれの単価。数が少ないうちは手作業の集計でかまいません。列が存在していることのほうが、精度より先に効きます。

この章のまとめ

リードは適合度と今すぐ度で分ける。今すぐ度が低いだけのリードを、質が悪いと扱わない。

08商談化までの成果を、Web広告に戻すにはどうするんですか?

ここが法人向けの計測の中心です。商談化や受注は、広告のタグが届かない場所で起きます。そこで、起きた事実をあとから広告側へ送り返す仕組みを使います。

Google広告には、この用途の機能が用意されています。オフラインコンバージョンのインポートは、広告のクリックや電話問い合わせのあとにオフラインで起きた行動を計測するための仕組みで、契約書の署名のような成果を戻せると説明されています。使うには、見込み顧客の情報と一緒にGoogle クリック ID(GCLID)を保存しておくこと、そしてユーザーへ明確な情報開示を行い、必要に応じて同意を得ることが挙げられています(出典: Google広告ヘルプ)。

会議室で起きたことを、配信面へ返すまで下が欠けていると、上をいくら作っても届きません会議室で起きたことを、配信面へ返すまで下が欠けていると、上をいくら作っても届きません④ 決まった段階で送り返す自動で送る経路を用意し、手作業に頼らない③ その後どうなったかを台帳に書く連絡済み・面談・受注・見送りを状態として持つ② 押した印を落とさず持ち歩く隠し項目で受け取り、台帳まで欠けずに運ぶ① 断りと知らせを済ませておく扱う相手は個人のデータ。法務と広報の確認が先
会議室で起きたことを、配信面へ返すまで — 下が欠けていると、上をいくら作っても届きません

この章のまとめ

商談化はGCLIDを保存しておけば戻せる。前提として、同意と情報開示の整備が要る。

09リードの拡張コンバージョンは、広告運用の計測をどう変えるんですか?

オフラインコンバージョンのインポートには、上位版があります。リードの拡張コンバージョンです。

公式ヘルプは、これをオフラインコンバージョンのインポートをアップグレードしたものと位置づけ、GCLIDに加えてハッシュ化したメールアドレスなどのユーザー提供データを送ることで、精度と入札の成果を高める仕組みだと説明しています。実装は、サイト側でハッシュ化済みのデータを取得するようGoogleタグを設定する工程と、同じデータを使ってインポートを自動化する工程の2段階です(出典: Google広告ヘルプ)。

識別子を1つしか持たない場合、クリックからフォーム送信までの間にブラウザが変わる、あるいは値が引き継がれないと、そこで線が切れます。メールアドレスという別の手がかりを足すことで、線がつながる確率を上げる、という考え方です。

なお、送信の経路には移行の予定が示されています。公式ヘルプは、2026-06-15以降、オフラインコンバージョンのインポートとリードの拡張コンバージョンのアップロードがData Manager APIへ移行し、Google Ads APIではブロックされると説明しています(出典: Google広告ヘルプ)。既存の連携がある場合は、移行の要否を確認してください。

cookie制限下での計測の考え方は、CAPIと拡張コンバージョン、cookie制限下の計測代替を整理でも扱っています。

この章のまとめ

拡張版は、識別子に加えてハッシュ化した顧客データを送る形。送信経路には移行の予定がある。

10BtoB広告のリード獲得で、CRM・MAは広告運用と何を分担しますか?

戻す仕組みを動かすには、結果がどこかに記録されている必要があります。その記録の場所がCRMです。

分担はこうなります。広告側は、クリックに識別子(GCLID)を付け、フォーム送信時にそれを一緒に渡す。フォームとサイト側は、受け取った識別子を欠かさず保存する。CRMは、リードごとに識別子と、その後の状態(連絡済み、商談化、受注、失注)を持つ。MAは、今すぐ度が低いリードを育て、状態が変わったらCRMへ返す。そして、CRMから広告側へ結果を送り返す。

若葉さん
若葉さんの発言

識別子って、フォームのどこに入るんですか。見た目には出てこないですよね。

鈴木さん
鈴木さんの発言

隠しフィールドに入れます。クリックのときにURLへ付いた値を、フォーム送信時に一緒に送る。ここが抜けていると、あとの工程が全部つながりません。最初に確認するのはここです。

Google広告のヘルプも、GCLIDを使ったオフラインコンバージョンの設定にあたって、自動タグ設定を有効にすることと、広告のURLに付与される値を取得できるようサイト側のコードを変更できることを条件に挙げています(出典: Google広告ヘルプ)。

MAの役割は、法人向けでは特に大きくなります。適合度が高く今すぐ度が低いリードは、そのまま営業へ渡しても商談になりません。時間をかけて状態が変わるのを待つ対象です。この層をCRM上で見失うと、半年後に商談化したリードがどの広告から来たのか分からなくなり、広告の評価も過小になります。

この章のまとめ

識別子の保存が全体の要。CRMが状態を持ち、MAが育て、広告へ結果を返す形にする。

11検討期間が長い商材で、広告運用の計測期間はどう決めますか?

検討が長い商材では、計測期間の設定そのものが結果を左右します。

Google広告の計測期間は、コンバージョンアクションごとに設定できます。クリックスルーコンバージョンでは1〜30日、60日、または90日の範囲で指定でき、既定値は30日、公式ヘルプは7日以上を指定することをすすめています。ビュースルーコンバージョンの既定値は1日です(出典: Google広告ヘルプ)。

決まるまでの長さと、追える長さが合わないはみ出した部分は、あとから送り返して埋めます決まるまでの長さと、追える長さが合わないはみ出した部分は、あとから送り返して埋めます押した直後資料をもらうここは窓の内側。素直に紐づく数週間後初回の打ち合わせ既定のままだと窓の端にかかる数か月後稟議と見積もりクリックスルーは最長90日までその先契約が決まる窓の外。送り返さないと存在しないまま
決まるまでの長さと、追える長さが合わない — はみ出した部分は、あとから送り返して埋めます

ここで起きるのが、事業の検討期間が計測期間より長いという状況です。受注まで半年かかる商材では、上限まで設定しても受注は広告に紐づきません。考え方は2つあります。

1つは、広告に渡す成果地点を、計測期間の中に収まる位置へ置くこと。資料請求や初回商談の設定など、比較的早く起きる地点を主要な成果にします。ただし、そこで止めないことが条件です。

もう1つは、遅れて起きた成果を、あとから戻すこと。オフラインコンバージョンのインポートを使えば、時間が経ってから起きた商談化や受注も送り返せます。ただし、遅れて戻した成果を自動入札がどこまで活かせるかは、遅れの大きさによって変わります。

大森部長
大森部長の発言

半年前の広告の成果を、いま評価しても意味があるのか。

鈴木さん
鈴木さんの発言

入札の材料としては弱くなります。ただ、投資判断の材料としては十分に意味があります。どのチャネルから来たリードが受注につながったかは、来期の配分を決める根拠になります。役割を分けて考えてください。

この章のまとめ

計測期間には上限がある。手前の成果地点を主にし、遅れた成果は戻して投資判断に使う。

12法人だけに届けたいとき、Web広告のターゲティングはどう組みますか?

法人向けの配信では、「そもそも対象外の人に届いている」ことが単価を押し上げます。届け先を絞る手段は、大きく3つに分かれます。

仕事で見ている人にだけ当てる、3つの寄せ方どれか1つではなく、重ねて使うものです仕事で見ている人にだけ当てる、3つの寄せ方どれか1つではなく、重ねて使うものです言葉で寄せる仕事の場面でしか出ない語を選ぶ求人や学習目的の語を落とす作業が同じくらい効く手持ちで寄せる自社の名簿を当て先に使う取引済みの会社を外すだけでも無駄が減る肩書で寄せる勤務先や職務の情報で調整する企業の指定は1,000社まで。狭めるのではなく入札を動かす
仕事で見ている人にだけ当てる、3つの寄せ方 — どれか1つではなく、重ねて使うものです

1つ目は、検索語句で絞る方法です。業務上の課題や製品カテゴリの語、比較検討の語など、仕事の文脈でしか使われない語を選びます。除外キーワードで、個人利用や求人、学習目的の語を落とす作業も同じくらい効きます。

2つ目は、自社データで絞る方法です。既存顧客リスト、商談中の企業リスト、失注先リストなどを使い、当てる相手を選びます。既存顧客を除外するだけでも、無駄な配信は減ります。

3つ目は、プロフィール情報で絞る方法です。Microsoft Advertisingには、LinkedInのプロフィール情報にもとづくターゲティングがあり、企業、業種、職務の3つの軸で対象を指定できます。公式ドキュメントによると、1つの広告グループまたはキャンペーンで指定できる企業は1,000社までで、企業リストは管理画面で手動追加する必要があるとされています。また、この機能は対象を狭めるものではなく、入札の調整として働く「bid only」の仕組みだと説明されています(出典: Microsoft Advertising)。

この章のまとめ

絞る手段は、検索語句・自社データ・プロフィール情報の3つ。絞りすぎは学習量を削る。

13AI活用が進んだ自動入札に、BtoB広告のリード獲得をどう合わせますか?

自動入札は、渡された成果と、その価値に向かって動きます。ここまで整えてきたものは、すべてこの入力を良くするための作業でした。合わせ方の順番は3つです。

第1に、成果地点を分ける。 フォーム送信、商談化、受注をそれぞれ別のコンバージョンアクションとして持ちます。分けておかないと、あとから重みを変えられません。

第2に、価値を渡す。 件数だけを渡すと、入札は件数を増やそうとします。商談化や受注に金額を割り当てると、入札は金額の大きい方向へ寄ります。法人向けは価値のばらつきが大きいため、この違いが効きます。

第3に、学習量を確保する。 成果地点を奥へ動かすほど、発生する件数は減ります。少なすぎると自動入札は学習できません。奥へ動かすときは、手前の地点も残して両方を渡します。

高梨課長
高梨課長の発言

商談化を渡したいのですが、月に数件しか起きません。

鈴木さん
鈴木さんの発言

その件数だと、それだけを入札の材料にするのは難しいです。手前の地点を主に置いたまま、商談化は価値の重みとして足す形が現実に合います。無理に奥へ寄せると、配信が止まります。

予算配分の考え方は、広告予算配分の判断軸|媒体をまたぐとき何を見るかも合わせて読んでください。

この章のまとめ

成果地点を分け、価値を渡し、学習量を確保する。奥へ寄せすぎると配信が止まる。

14BtoB広告のリード獲得でつまずくのは、広告運用のどこですか?

最後に、実際につまずきやすい点を挙げます。

1つ目は、識別子の保存が抜けていることです。隠しフィールドが用意されていない、あるいはフォームの入れ替えで消えている。この状態では、後続の設計をどれだけ作り込んでも結果を戻せません。

2つ目は、言葉の定義が部署ごとに違うことです。定義がずれたまま数字を持ち寄ると、会議のたびに答え合わせで時間が終わります。

3つ目は、成果地点を動かした事実を報告に書かないことです。単価の改善だけが残り、次の期の目標が実態と合わない水準で設定されます。

4つ目は、育てる対象を質の悪いリードとして切ってしまうことです。適合度が高く今すぐ度が低い層は、法人向けでは主要な母集団になります。

5つ目は、同意と情報開示を後回しにすることです。個人データを扱う仕組みなので、要件を満たさないまま走らせると止めることになります。

この章のまとめ

つまずきは、識別子・定義・報告・育成対象の扱い・同意の5点に集まる。

15よくある質問

BtoB広告のコンバージョンは、フォーム送信と商談化のどちらに置くべきですか

両方を置くのが現実的です。フォーム送信だけだと自動入札が商談にならない人へ寄り、商談化だけだと件数が少なく学習が進みません。両方を持ち、価値の重みで差をつけてください。

商談化や受注を広告に戻すには、何から始めればいいですか

クリック時の識別子を保存できているかの確認からです。Google広告のヘルプは、GCLIDを使ったオフラインコンバージョンの設定にあたり、自動タグ設定を有効にすることと、広告のURLに付与される値を取得できるようサイト側のコードを変更できることを条件に挙げています(出典: Google広告ヘルプ)。ここが通っていないと、後続の工程は動きません。

フォームの項目は、少ないほうがいいですか

後工程の体制で決まります。連絡できる人数が限られているなら、項目を増やして絞ったほうが速く回ります。必須と任意を分け、任意でも答えてくれた人を優先する運用にすると、送信数を落とさずに優先順位をつけられます。

検討期間が長い商材でも、広告の計測期間内に成果は収まりますか

収まらないことが多いです。Google広告のクリックスルーコンバージョンの計測期間は1〜30日、60日、または90日の範囲で設定でき、既定値は30日です(出典: Google広告ヘルプ)。これを超える検討期間の商材では、手前の成果地点を主に使い、遅れて起きた成果はオフラインコンバージョンのインポートで戻す形になります。

リードフォーム アセットで取得したリードは、いつまで取り出せますか

Google広告のヘルプは、リードをGoogle広告側で60日間保存し、CSVでダウンロードできるのは過去30日間分と説明しています(出典: Google広告ヘルプ)。手作業のダウンロードだけに頼ると取りこぼしが起きるため、WebhookやAPIでCRMへ自動連携する形をおすすめします。

16まとめ|今日やる3つのこと

今日この順でやります

  1. 識別子が保存されているか確認する

    フォームの隠しフィールドにクリック時の値が入り、CRMまで届いているかを1件たどって確かめます

  2. 言葉の定義を1枚にする

    「リード」「有効リード」「商談」が何を指すかを、マーケティングと営業で1つに決めます

  3. 成果地点を書き出す

    いま広告に渡しているコンバージョンを一覧にし、フォーム送信で止まっていないかを見ます

AI検索では、こう聞かれています

  • BtoB広告でリード獲得するとき、コンバージョンはどこに置けばいいですか?

    「フォーム送信をゴールにすると、Web広告のリード獲得は何を見失いますか?」の章で、地点を分ける考え方を説明しています

  • フォーム送信は増えたのに商談が増えないのはなぜですか?

    「リード獲得の質は、広告運用のどの数字で見分けるんですか?」の章に、リードを2軸で分ける方法があります

  • 商談化や受注の結果を広告側に戻すにはどうすればいいですか?

    「商談化までの成果を、Web広告に戻すにはどうするんですか?」の章で、必要な準備を順に挙げています

次に読むなら、この記事です