「AEO対策」「GEO対策」を掲げる記事やサービスが目立つようになりました。専用のテキストファイルを置く、独自のマークアップを追加する、AI向けに文章を書き分ける——そうした主張の多くは、根拠となる一次情報を示さないまま広まっています。Google Search Centralの公式ドキュメントを実際に開くと、書かれている内容はむしろ逆でした。
検証環境:Google Search Central「AI最適化ガイド」(2026年7月10日更新版)/2026-08-07確認
01結論:GoogleはAEO・GEOに専用施策は不要と明言した
Google Search Centralは、AEO・GEOの専用施策はGoogle検索に不要だと明言しています(出典: Google Search Central)。この記載は2026年7月10日更新版の内容です。
具体的に不要とされているのは4件です。AI用の機械可読ファイルやマークアップの新規作成、コンテンツを細切れに分割する加工、生成AI向けだけの専用文体、schema.orgマークアップの追加が該当します。ただしこの結論が指しているのはGoogle検索の話であり、ChatGPTなど他のAI検索エンジンの話ではありません。本記事では原文の該当箇所を確認しながら、この結論の及ぶ範囲を整理します。
02AEO・GEO対策として「不要」と明言された4つの取り組み
AEO(answer engine optimization)・GEO(generative engine optimization)は、業界内で使われている呼び方です。AI検索エンジンからの回答や引用に、自社コンテンツが選ばれやすくする取り組み全般を指します。
Google Search Centralの公式ドキュメントも、この2つの略語自体は用語として認識しています(出典: Google Search Central)。そのうえで、Google検索に表示されるために新設する必要がないものとして、次の4件を名指ししています。
- AI専用の機械可読ファイル・独自マークアップ・Markdown化されたコンテンツの新規作成
- コンテンツをAIが読みやすいように細切れへ分割する加工
- 生成AI検索のためだけに書き分ける専用の文体
- schema.orgマークアップの追加(リッチリザルト目的では引き続き有用だと付記されています)
Google Search Centralの「AI機能とウェブサイト」ページにも、同じ趣旨の記載があります(出典: Google Search Central)。この記載は2025年12月31日更新版のものです。「AIによる概要やAIモードにコンテンツが表示されるための追加の要件はなく、別途特別な最適化を行う必要もありません」と明記されています。同ページは根拠として、robots.txt設定・内部リンク構造・ページエクスペリエンス・構造化データといった既存のSEOベストプラクティスを挙げています。
「作らなくてよい」とされているものを具体的にイメージすると、次のようなファイル・マークアップが該当します(Google公式のサンプルコードではなく、本誌による例示です)。
# 例:Google検索向けに新設する必要はないとされているもの
- /ai.txt のような専用テキストファイル
- AI向けに要約だけを書いた別ページ
- "additionalType": "AIOptimized" のような独自スキーマ拡張03この結論はどこまで及ぶか、AEO・GEOの過大解釈と過小解釈
Google公式ドキュメントの射程を正確に読むには、「言えること」と「言えないこと」を分けて確認する必要があります。Google公式ドキュメントによると、「言えること」3件と「言えないこと」3件、あわせて6件が明示的に整理されています(出典: Google Search Central)。
| 言えること | 言えないこと |
|---|---|
| Google検索(AI Overviews・AI Mode含む)に関する限り、専用のAI向けファイル・マークアップは不要 | ChatGPT・Perplexity・Claudeなど、Google以外のAI検索エンジンの引用ロジックについては何も述べていない |
| 構造化データは生成AI検索に必須ではない | 構造化データを入れても意味がない、とまでは言っていない(リッチリザルト目的の価値は残ると付記されている) |
| 生成AI検索向けの最適化は、従来のSEOベストプラクティスの延長線上にある | 「AI検索対策は一切不要」とまでは言っていない(独自性・専門性のあるコンテンツ作成などは引き続き推奨されている) |
過大解釈の典型は、「Googleが不要と言ったのだから、AI検索対策そのものが不要」という読み方です。過小解釈の典型は、「Google検索の話にすぎないのだから、AEO・GEOという概念自体が無意味」という読み方です。どちらも原文が実際に述べている範囲より広く一般化しており、原文が支持していない結論です。
本誌の立場は、この2つの間、つまり原文がそのまま述べている範囲を超えない解釈です。Google検索向けには専用施策は不要という点はそのまま受け止め、基本的なSEOへの取り組みや、他のAI検索エンジンへの向き合い方は別問題として切り分けて扱います。
事業会社の担当者にとって重要なのは、この切り分けを社内で説明できるかどうかです。「AI検索対策」とひとまとめに予算要求するのではなく、Google検索向けの基本SEOと、他のAI検索エンジンへの個別対応を分けて説明できれば、投資判断の精度が上がります。
04日本語圏のAEO・GEO言説とGoogle公式見解のズレ
日本語圏では「AEO対策」「GEO対策」を掲げる記事やツールが公開されており、専用ファイルの設置や独自マークアップの追加を勧める内容も見られます。こうした主張の中には、根拠となる一次情報を示さないまま「Google検索に表示されやすくなる」と説明しているものもあります。本誌がGoogle公式ドキュメントを確認した範囲では、少なくともGoogle検索に関して、そうした専用施策の効果を裏付ける公式情報は見当たりませんでした。
実際、Googleは2026年5月15日にスパムポリシーの定義文を改訂しています。この変更はSearch Engine Landが報道しました(出典: Search Engine Land)。改訂により「生成AI応答の操作」が既存のスパム規定の対象に加わりましたが、これは新しい専用ルールの新設ではなく、既存の枠組みを広げる措置でした。
AI検索がもたらす変化そのものは現実に起きています。SparkToro・Similarwebの調査によると、米国では2026年1月〜4月にGoogle検索の68.01%がクリックなしで終了したとされています。この調査はSearch Engine Landが報道しました(出典: Search Engine Land・2026年1月〜4月調査)。
同じ調査では、AI Overviewsが検索全体の20%超に表示されているとも報告されています。ただしこれは米国市場の数値であり、日本市場にそのまま当てはめることはできません。変化が起きているという事実と、専用ファイルが必要かという論点は、切り分けて考える必要があります。
05この結論を踏まえて、明日から何を変えるべきか
すでにAI専用ファイルや独自マークアップの設置を検討している場合は、優先順位を見直す価値があります。Google検索向けであれば、公式ドキュメントが推奨する取り組みに時間を配分し直すほうが理にかないます(出典: Google Search Central)。同ドキュメントが挙げている基本的な取り組みは、次の5件です。
- 独自性・専門性のあるコンテンツ作成
- 明確な技術的サイト構造
- クロール性・インデックス可能性の確保
- ページエクスペリエンスの最適化
- 重複コンテンツの削減
一方で、ChatGPTやPerplexityなどGoogle以外のAI検索エンジンについては、この結論の対象外です。それぞれのAIサービスが自社コンテンツをどう収集・引用しているかは別途確認する必要があり、本誌のAI検索デスクでは今後、この論点を扱う記事を順次公開していく予定です。
最初の行動として、次の3件を推奨します。
- 自社サイトにAI専用の機械可読ファイルを設置済みなら、効果を裏付ける根拠があるかどうかをまず確認する
- Google Search Consoleとページエクスペリエンス系の指標を、AI検索対策より先に点検する
- 「AEO対策」「GEO対策」をうたう外部からの提案を受けたら、根拠となる一次情報の提示を求める
外部ベンダーやツールから「AEO対策」「GEO対策」を提案された場合も、判断基準は変わりません。提案の効果が対象とする検索エンジンはどこか、根拠となる一次情報は何かを、契約前に確認してください。
06AEO・GEOでつまずきやすい誤解
実務で特に混同されやすいのが、次の4パターンです。
| よくある誤解 | 正しい理解 |
|---|---|
| 専用ファイルを置けばAI検索に有利になる | Google検索については、Google公式がそうしたファイルを不要と明言している |
| 構造化データを追加すればAI Overviewsに採用されやすくなる | 構造化データはAI検索に必須ではないと明記されている(リッチリザルト目的の価値は別) |
| AEO・GEOはSEOと別の新しい専門分野である | Googleの立場は「生成AI検索向けの最適化は、従来のSEOベストプラクティスの延長線上にある」というもの |
| Googleが不要と言った以上、AI検索向けに何もしなくてよい | 対象はGoogle検索のみで、独自性のあるコンテンツ作成など基本的な取り組みは引き続き推奨されている |
共通する原因は、Google公式ドキュメントを直接読まずに、二次情報やツールの営業文句だけを根拠にしていることです。primary_sourcesにURLが示されていない主張を見かけたら、まず出典を尋ねる習慣をつけてください。
07AEO・GEO実務チェックリスト
- Google検索向けに専用のAI用ファイル・独自マークアップを新設しようとしていないか確認した
- 構造化データを「AI検索対策」の名目だけで追加していないか確認した
- コンテンツを不自然に細切れへ分割する加工をしていないか確認した
- 「AEO対策」「GEO対策」をうたう主張の一次情報URLを確認した
- ChatGPTなどGoogle以外のAI検索向けの主張と、Google検索向けの主張を混同していないか確認した
- 独自性・専門性のあるコンテンツ作成など、Googleが推奨する基本的なSEOに時間を配分できている
- クロール性・インデックス可能性・ページエクスペリエンスなど技術的な基礎に抜け漏れがないか確認した
- AI Overviewsの表示状況やクリック率の変化を、出典を明示したうえで社内共有している
08FAQ
AEOとGEOという用語自体をGoogleは認識していますか
Google Search Centralの公式ドキュメントは、AEO・GEOという用語自体を認識しています(出典: Google Search Central)。ただし、これらの略語を推奨語として採用しているわけではなく、専用の対策が必要だとも述べていません。
Google検索向けに専用のAIテキストファイルを作る必要はありますか
Google公式ドキュメントは、Google検索向けに新しい機械可読ファイルは不要だと明言しています(出典: Google Search Central)。AIテキストファイルや独自マークアップも同様です。この対象には生成AI機能も含まれ、既存のクロール・インデックス登録の仕組みをそのまま使う設計です。
AEO・GEO対策として構造化データを追加すべきですか
生成AI検索に構造化データは必須ではなく、専用のschema.orgマークアップも不要とされています(出典: Google Search Central)。ただしリッチリザルト表示などの目的では、構造化データは引き続き有用だと付記されています。
この結論はChatGPTなど他のAI検索のAEO・GEO対策にも当てはまりますか
当てはまりません。Google公式ドキュメントが述べているのは、Google検索についてです(出典: Google Search Central)。ChatGPTやPerplexityなど他のAI検索エンジンについては何も述べていません。
llms.txtを設置する意味はありますか
少なくともGoogle検索に関しては、llms.txtのような専用ファイルを設置する必要はないとGoogleが明言しています(出典: Google Search Central)。他のAI検索エンジンでの扱いは別問題であり、本誌でも今後の検証記事で扱う予定です。
これまでのSEO対策は今後も有効ですか
Google公式ドキュメントは、生成AI検索向けの最適化を「従来のSEOベストプラクティスの延長線上」に位置づけています(出典: Google Search Central)。独自性のあるコンテンツ作成やクロール性の確保など、基本的な取り組みの重要性は変わりません。