2026年5月15日、Googleはスパムポリシーの定義文を改訂しました。従来は「ランキング操作」だけを対象にしていた文言に、「生成AI応答の操作」が明示的に加わっています(出典: Search Engine Land・2026年5月15日報道)。AI量産記事を計画するマーケティング担当者にとって、見過ごせない更新です。
本誌AI MARKETING JOURNALも、第1弾で100本規模の記事を計画しています。まだ1本もreviewedに進んでいない今だからこそ、量産計画そのものにスパムポリシー違反のリスクが無いかを点検しました。この記事は、その点検の記録です。
この記事で分かることは次の3点です。
- Googleが公式に示す「スケール化されたコンテンツの濫用」の判定基準
- AI量産記事の計画段階で陥りやすい誤診パターン
- 本誌が量産計画に組み込んだ具体的な歯止め
検証環境:Google Search Central公式ドキュメント・Google Search Status Dashboardを2026-08-07に確認しています。
01スパムポリシー違反と判定される基準に何が起きたか
2026年5月15日の改訂で、Googleのスパムポリシーの対象範囲が広がりました。従来はランキング操作だけが対象でした。改訂後は、AI OverviewsやAI Modeが生成する回答を操作する行為も対象に加わっています(出典: Search Engine Land・2026年5月15日報道)。
同じ時期、Googleはコアアップデートとスパムアップデートを繰り返し実施しています。直近の履歴は次のとおりです(出典: Google Search Status Dashboard・2026-08-07確認)。
| 更新種別 | 開始日 | 所要時間 |
|---|---|---|
| スパムアップデート | 2026年6月24日 | 2日1時間 |
| コアアップデート | 2026年5月21日 | 11日21時間 |
| コアアップデート | 2026年3月27日 | 12日4時間 |
| スパムアップデート | 2026年3月24日 | 19時間30分 |
| コアアップデート | 2025年12月11日 | 18日2時間 |
| スパムアップデート | 2025年8月26日 | 26日15時間 |
本誌の記事マップは100本を計画しています。2026-08-07時点で全行がstatus: plannedのままです。reviewedへ進んだ記事は0本です(2026-08-07実測)。公開実績が無いいまのうちに、量産計画そのものを点検する意味があると判断しました。
この改訂が重要なのは、生成AIによる記事量産が現場で急速に一般化しているためです。1人のライターが1日に書ける本数を、生成AIは大きく上回ります。本数を増やすこと自体は問題ではありませんが、増やした分だけ価値を担保できているかが問われます。
02最初に疑ったのは「本数」だった(誤診)
量産計画を点検する際、最初に疑ったのは記事の本数そのものでした。「100本という規模自体が、スケール化されたコンテンツの濫用に近づくのではないか」という疑いです。
しかしGoogle公式ドキュメントは、この疑いをはっきり否定しています。ページ数が多いこと自体は問題ではなく、ユーザーへの価値を伴わない大量生成が問題だと述べています(出典: Google Search Central・2025-12-10更新)。AI生成コンテンツそのものも、ガイドライン違反ではないと明言されています。
もう一つの誤診は「AI検索向けの専用ファイルを用意すれば有利になる」という思い込みでした。Google公式は専用マークアップやAIテキストファイルの作成は不要だと明言しています(出典: Google Search Central・2025-12-31更新)。生成AI検索向けの最適化についても、専用の施策は不要という立場です(出典: Google Search Central・2026-07-10更新)。
「本数を絞れば安全」「AI向けのページを増やせば有利」は、どちらも公式見解とずれた誤診でした。どちらも、対策を「量」で測ろうとした結果です。ページ数やファイル数という数えやすい指標に頼ると、実際に問われている「価値」を見落としやすくなります。
03スパムポリシー違反の真因は「本数」ではなく「価値」
Google公式ドキュメントが示す境界条件は明快です。「ボリューム」と「ユーザーへの価値の欠如」が同時に成立すると、スパムポリシー違反になりえます。この構造はGoogle公式ドキュメントに明記されています(出典: Google Search Central・2025-12-10更新)。
参照先として「スケール化されたコンテンツの濫用」という用語がありますが、詳しい定義は品質評価ガイドラインへの参照にとどまり、このページ単体に全文はありません。「何ページ以上が違反か」という閾値も、Google検索セントラルのポリシーページに明記はありません(出典: Google 検索セントラル・2026-08-08確認)。本誌はここを数値で断定しません。品質評価ガイドラインは検索結果の品質を採点する社内基準で、順位を決めるアルゴリズムではないため、評価基準を順位決定ルールと同一視しないでください。
2026年5月15日の改訂は、この基準の射程をさらに広げました。生成AIの回答を操作する行為も対象に加わったためです(出典: Search Engine Land・2026年5月15日報道)。真因は本数ではなく、1本あたりの価値の欠如です。
04量産計画をどう設計し直したか
点検の結果、本誌は量産計画に3つの歯止めを組み込みました。1つ目は、全型共通で本文の下限字数を2,200字に固定した設計です。薄いページを大量生産しない仕組みです。字数の下限だけで「価値」を保証できるわけではありませんが、内容が薄いまま本数だけを稼ぐ記事を機械的に弾く効果があります。
2つ目は、数値主張1件ごとに一次情報URLか自社実測の日付のいずれかを機械的に要求する仕組みです。実装済みのcheck_sources.pyが、出典のない数値を含む記事をreviewedへ進めません。出典のない数値は、読者が検証できないという意味で「価値の欠如」そのものだと考えています。
3つ目は、同じキーワード・同じ検索意図の記事を重複させない設計です。target_kwの主語トークンが重複する場合は検索意図を変えるか記事を統合する運用にしています。タイトルだけを変えた量産テンプレートを、構造的に避ける狙いです。
05二度とスパムポリシー違反の芽を見逃さない仕組み
本誌の公開フローは、執筆・独立ファクトチェック・機械検証・批評・reviewedという5段階です。どの段階で価値の薄い記事が混じっても、次の段階で止まる設計にしています。
一次情報の裏取りも、執筆に入る前に済ませる運用です。今回の点検時点で、_sources/アーカイブは56件(一次50件・二次6件、約89%が一次情報)に達しています(2026-08-07実測)。
姉妹誌AIO Journalは2026-07-28時点で251本を公開しています(sitemap.xml実測)。本誌はまだ0本の公開実績しかありませんが、本数が積み上がる前にこの基準を点検できたことは、立ち上げ段階だからこその利点だと考えています。
自社で量産計画を立てる場合も、着眼点は同じです。本数の目標値を決める前に、1本ごとに「既存ページには無い価値」を定義できるかを先に問うことをおすすめします。次のチェックリストは、その確認を実務に落とし込むための8項目です。
06同じ失敗を避けるためのチェックリスト
- 生成AIで作るページ1本ごとに、既存ページには無い固有の価値(データ・検証・実例)があるか確認したか
- 大量生成する前に、想定される検索需要に対してページ数が過大でないか点検したか
- タイトル・導入文だけを変えた量産テンプレートになっていないか確認したか
- 一次情報の裏取りをせず、伝聞のまま断定していないか確認したか
- AI検索向けの専用ファイルや特別なマークアップを「念のため」大量生成していないか確認したか
- 公開前にAI関与の開示方針を決めているか
- 量産の進捗を、本数だけでなく品質ゲートで差し戻した件数でも管理しているか
- Google Search Status Dashboardで直近のスパムアップデートの有無を定期的に確認しているか