「広告の配信先レポートを見たら、聞いたことのないサイトばかりだった」という相談が増えています。背景の1つが、AIによる広告最適化が、MFA(Made for Advertising)疑いサイトを「効率的な配信先」と誤認しやすいことです。本記事では、JICDAQに掲載された解析データと、DoubleVerify・ANAの公式定義をもとに、MFA疑いサイトを見分ける観点と確認手順を整理します。実在のサイト名は挙げません。
*検証環境:JICDAQ公式サイト(寄稿記事)・DoubleVerify公式ニュースルーム・ANA公式サイトの本文直接確認/2026-08-08確認*
01結論:MFA疑いサイトは「広告面積」「更新の仕方」「流入元」の3点で見分けます
MFA疑いサイトとは、広告収益を得ることを主目的に作られたサイトです。DoubleVerifyは、MFAサイトを「広告を配信することだけを目的とするサイト」と公式に定義しています(出典: DoubleVerify)。
MFA疑いサイトを見分けるときは、次の4つの観点で確認します。1つの観点だけで判定せず、複数を組み合わせることが重要です。
| 観点 | 何を確認するか |
|---|---|
| 広告面積 | コンテンツの分量に対して広告が過剰に多くないか |
| 更新の仕方 | 広告やページが1回の訪問で何度も自動更新されないか |
| 流入元 | 自然検索や直接訪問より、広告経由の流入が極端に多くないか |
| コンテンツ | 内容が他サイトと重複していたり、生成AIで大量生産された形跡が無いか |
次の見出しから、それぞれの観点を具体的に見ていきます。
02MFA疑いサイトとは、広告収益だけを目的に作られたサイトです
MFAは、Made for Advertisingの略です。ANAが2023年6月に公表した調査によると、MFAサイトは調査対象インプレッションの21%、広告費の15%を占めていました(出典: ANA)。
この調査は2022年9月から2023年1月にかけて実施され、1億2,300万ドル相当の広告費、355億インプレッションを対象にしています。ANAは、MFAサイトの典型例として、低品質なコンテンツにポップアップ広告や自動再生動画を組み合わせて広告収益を稼ぐ設計を挙げています(出典: ANA)。
日本国内の実態については、JICDAQ(一般社団法人デジタル広告品質認証機構)のサイトに解析が掲載されています。掲載元は、会員企業である株式会社Spider Labsの寄稿記事です(出典: JICDAQ)。この解析はJICDAQ自身の調査ではなく、外部企業による寄稿記事である点に注意してください。
JICDAQは、広告3団体が中心となり2021年3月に設立した認証機構です(出典: JICDAQ)。3団体とは、JAA(日本アドバタイザーズ協会)・JAAA(日本広告業協会)・JIAA(日本インタラクティブ広告協会)です。
2つの調査を比較すると、次のとおりです。
| 調査 | 実施主体 | 対象・期間 | 主な数値 |
|---|---|---|---|
| ANA調査(2023年6月公表) | ANA(Association of National Advertisers) | 2022年9月〜2023年1月、1億2,300万ドル相当・355億インプレッション | MFAサイトがインプレッションの21%、広告費の15% |
| JICDAQ掲載解析(Spider Labs社寄稿) | 株式会社Spider Labs | 2025年1月〜12月、Spider AF計測の総クリック60億5,852万件 | 国内アドフラウド被害額 約1,591億7,733万円、平均不正率4.81% |
03MFA疑いサイトの1つ目の特徴は、コンテンツに対して広告が過剰に多いことです
DoubleVerifyは、MFA疑いサイトの特徴を2つ挙げています(出典: DoubleVerify)。1つは、コンテンツの分量に対して広告面積が大きいことです。もう1つは、1回の訪問からの収益を最大化するための頻繁な広告更新です。
ANAも同様に、MFAサイトはポップアップ広告・自動再生動画・押し付けがましい広告といった手法で広告面積を増やす傾向があると報告しています(出典: ANA)。広告面積を確認するときは、スクロールせずに見える範囲(ファーストビュー)に占める広告の割合と、本文コンテンツの分量を見比べる方法が実務的です。
ただし、広告が多いことだけでMFAと断定するのは早計です。DoubleVerify自身も、広告数が多くても直接訪問や検索流入の比率が高いサイトはMFAの定義に該当しないと明記しています。広告面積は、後述する流入元とあわせて確認する観点の1つです。
04MFA疑いサイトの2つ目の特徴は、広告やページが不自然な頻度で更新されることです
MFA疑いサイトのもう1つの特徴が、広告やコンテンツの自動更新です。MFAの判定要素には、コンテンツ構成の設計そのものも含まれます。DoubleVerifyは、ユーザーを同一ドメイン内で際限なくスクロール・クリックさせ続ける設計も判定要素として挙げています(出典: DoubleVerify)。
無限スクロールや、クリックのたびにページ全体が再読み込みされる構成は、閲覧1回あたりの広告表示回数を増やす目的で使われることがあります。確認手順としては、同じページに一定時間とどまり、広告枠が短い間隔で自動的に切り替わっていないかを目視で確認する方法があります。
05流入元を見れば、自然検索より広告経由が多いサイトが分かります
DoubleVerifyは、収益源の偏りも判定基準の1つに挙げています(出典: DoubleVerify)。MFA疑いサイトは、自然検索ではなくSNS広告やネイティブ広告などの有料流入にほぼ依存する傾向があります。
ここで注意したいのが「MFA=Botトラフィック」という誤解です。DoubleVerifyは、MFAトラフィックの多くが実在する人間のユーザーによるものであり、SNSやコンテンツ推薦エンジンといった有料チャネル経由が中心だと説明しています。Bot対策だけではMFA疑いサイトへの配信を防げない可能性がある点は、実務上おさえておく必要があります。
06生成AIで大量生産されたコンテンツは、MFA疑いサイトの温床になっています
Spider Labsの解析によると、生成AIを使って粗悪なコンテンツを無数に量産する手口が横行しています(出典: JICDAQ)。この結果、2025年のMFAサイトへの広告掲載件数は前年比1,409%(約10億1,911万件)に拡大しました。被害額も前年比533%(約4億2,083万円)に拡大しています。
DoubleVerifyの定義でも、コンテンツの複製・量産はMFAサイトの特徴の1つとされています(出典: DoubleVerify)。具体的には、複数サイトへ逐語的に複製されていたり、生成AIによって自動的に量産されていたりする状態です。生成AIによる記事量産そのものを一律に問題視するわけではありません。価値の無い内容の量産や重複が問題だという整理は『AI量産記事とスパムポリシー違反|見るべきは本数でなく価値』でも扱っています。
07JICDAQに掲載された資料が示す、AI最適化配信とMFA疑いサイトの関係
Spider Labsの解析によると、2025年1月から12月にかけて、Spider AFで計測した総クリック60億5,852万件が解析対象となりました(出典: JICDAQ)。2025年の国内アドフラウド被害総額は、前年比82億円増の約1,591億7,733万円と推計されています。全体の平均不正率は4.81%でした。
業界別では、飲食業界6.44%、不動産業界5.87%、EC業界4.48%と、予算規模の大きい業界で被害が常態化していると報告されています。Spider Labsの解析によると、2025年1月から12月の期間で、局所的には10%〜20%を超える不正被害が発生しているケースもあるとされています(出典: JICDAQ)。
この解析で注視すべきは、AI最適化配信とMFA疑いサイトの関係です。AIは指定した目標に向けて配信先を自動で拡張する性質を持つため、安価なインプレッションを量産するMFA疑いサイトを「効率的な配信枠」と誤認してしまうことがあります。
Spider Labsは2025年1月〜12月に、総クリック60億5,852万件を解析しました。その結果、AI最適化キャンペーンの不正発生率は同媒体平均の最大約2倍(月別で最大5.24%)でした(出典: JICDAQ・2026-08-08にページ本文で直接確認)。今年度のMFA被害額(約4.2億円)のうち約62%(約2.6億円)は、最適化キャンペーンによる配信でした(出典: JICDAQ・2026-08-08確認)。
Spider Labsは、不正なクリックやコンバージョンをAIが学習し続けると、優良な実在ユーザーを避けて低品質な配信面へさらに予算を投下する「逆最適化」が起きると指摘しています。実際、Spider Labsが2025年1月〜12月に計測した実測データでは、正当なクリック(バリッドクリック)のコンバージョン率は3.50%でした。Bot等による無効なクリック(インバリッドクリック)の2.30%と比べて、約1.5倍高い数値です(出典: JICDAQ・2026-08-08確認)。この数値はSpider AFの計測範囲(総クリック60億5,852万件)に限定されるものであり、国内の広告不正被害額全体を代表する数値ではありません。
08MFA疑いサイトを判定するときつまずきやすい点
MFA疑いサイトの判定で見落としやすい点を紹介します。
- 広告が多いだけでMFAと断定し、直接訪問や検索流入が多い健全なメディアまで除外してしまう
- 「MFA=Botトラフィック」と誤解し、実在ユーザーによる有料流入経由の被害を見落とす
- JICDAQに掲載された解析を「JICDAQ自身の調査」と誤読し、寄稿元(Spider Labs社)を省いて引用してしまう
- Spider AFの計測範囲に限定された数値を、国内広告市場全体の数値として扱ってしまう
- 除外リストを一度作った後、AI最適化キャンペーンの配信状況を定期的に見直さない
除外リストの定期的な棚卸しの重要性は『AI時代の広告効果測定、指標の優先順位をどう組み替えるか』でも扱っています。MFA疑いサイトへの配信は、キーワード単位のレポートだけでは気づきにくい機会損失の一種です。
09MFA疑いサイトの確認チェックリスト
- 配信先ドメインのファーストビューで、広告面積とコンテンツ分量の比率を確認した
- 同一ページに一定時間とどまり、広告枠の自動更新の頻度を確認した
- 配信先ドメインの流入元(自然検索・直接訪問・広告経由)の内訳を確認した
- コンテンツが他サイトと重複していないか、生成AIによる量産の形跡が無いか確認した
- AI最適化キャンペーンの配信先を、非AI運用のキャンペーンと比較して確認した
- 除外リストを定期的に棚卸しし、更新漏れが無いか確認する頻度を決めた
- JICDAQ掲載記事を引用するときは、寄稿元(Spider Labs社)を明記した
10FAQ
MFA疑いサイトは、広告が多いサイトのことですか
広告の多さだけでは判定できません。DoubleVerifyの定義では、広告面積に加えて流入元・更新の仕方・コンテンツの重複といった複数の観点を組み合わせて判定します。
MFA疑いサイトへの配信は、Bot対策をすれば防げますか
防げるとは限りません。DoubleVerifyによると、MFAトラフィックの多くはBotではなく実在する人間のユーザーによるもので、SNS広告などの有料流入経由が中心です。
JICDAQが独自にMFAサイトを調査しているのですか
いいえ。本記事で扱った解析は、JICDAQの会員企業である株式会社Spider Labsが、JICDAQのサイトに寄稿記事として掲載したものです。JICDAQ自身が実施した調査ではありません。
AI最適化キャンペーンは、なぜMFA疑いサイトへの配信が増えやすいのですか
AIは指定した目標に向けて配信先を自動で拡張する性質があります。そのため、安価なインプレッションを量産するMFA疑いサイトを、効率的な配信枠と誤認してしまうことがあります。
MFA疑いサイトの判定に使える数値の基準はありますか
JICDAQに掲載された解析やANAの調査には具体的な数値が示されていますが、いずれも特定の計測ツールや調査期間に限定された数値です。自社の配信先レポートと照らし合わせて相対的に判断する使い方が実務的です。
特定のサイトをMFA疑いサイトと断定してよいですか
本記事は判定の観点と確認手順を示すものであり、特定サイトの実名を挙げて断定するものではありません。最終的な配信の可否は、複数の観点を確認したうえで自社で判断してください。