Screaming FrogのAI連携機能というと、alt text生成の話ばかりが語られがちです。実際に公式チュートリアルを開くと、対応範囲はもっと広く設計されています。この記事では、公式チュートリアルとリリースノートを根拠に、AI連携機能の対応プロバイダー・用途例・上限を整理します。実行結果の精度そのものは自社検証が必要な領域として明記します。

検証環境:Screaming Frog公式サイト(チュートリアル・v22.0/v24.0リリースノート・ユーザーガイド)を2026-08-08に確認しています。

01結論:Screaming FrogのAI連携機能は「Config > API Access > AI」に集約される

Screaming Frog SEO SpiderのAI連携機能は、メニュー上の1箇所にまとまっています。設定場所は「Config > API Access > AI」です(出典: Screaming Frog)。プロバイダーを選び、APIキーを登録し、クロール中に実行するプロンプトを設定する流れです。

用途はalt text生成にとどまりません。意図分析・エンティティ抽出・ベクトル埋め込みまで対応範囲に含まれます。ただし出力の精度そのものは、公式チュートリアル自身が「結果を注意深く確認するように」と繰り返し断っている領域です。

主要な設計は次の3点に整理できます。

論点内容
集約場所Config > API Access > AI(プロバイダー選択・APIキー登録・プロンプト設定)
対応範囲alt text生成・メタディスクリプション生成・言語判定・意図分析・感情分析・不適切コンテンツ検出・エンティティ抽出・データ抽出・ベクトル埋め込み
精度の扱い自動化された参考情報であり、公開前レビューが公式に推奨されている
AI連携機能の設定場所と対応範囲の全体像 4つのプロバイダー(OpenAI・Gemini・Anthropic・Ollama)から、設定場所であるConfig・API Access・AIへ矢印が集まり、そこからAPIキー登録・プロンプト最大100件設定を経て、alt text生成から意図分析まで9用途に及ぶ対応範囲へ矢印が伸びる図。精度は自社検証が前提であることを下部に注記する。 TECHNICAL SEO AI連携機能の設定場所と対応範囲 OpenAI Gemini Anthropic Ollama(無料) Config > API Access > AI APIキー登録 プロンプト最大100件 JSON入出力対応 対応範囲(9用途) alt text・メタ・言語判定 意図分析・感情分析 エンティティ・データ抽出 不適切検出・埋め込み 精度は公開前レビューが前提 Anthropic統合はバージョン22.0で追加(2025年6月10日) それ以前はOpenAI・Gemini・Ollamaの3プロバイダー体制だった 出力の精度そのものは自社検証の対象(公式チュートリアルの但し書き)
AI連携機能の設定場所(Config > API Access > AI)と対応範囲の全体像

02AI連携機能が対応する4プロバイダーとバージョン22.0の変更点

AI連携機能はOpenAI・Gemini・Anthropic・Ollamaという4つのプロバイダーに対応しています(出典: Screaming Frog)。このうちOllamaはローカルで動く無料のフレームワークです。他の3つは有料の外部LLMという位置づけです。

プロバイダー種別備考
OpenAI有料の外部LLMカスタムエンドポイント経由でDeepSeek等も接続可能
Gemini有料の外部LLM米英等の一部地域ではAI Studio経由で無料利用枠がある
Anthropic(Claude)有料の外部LLMバージョン22.0で新規統合された
Ollama無料のローカルLLMAPIキー不要、EmbeddingGemma等のモデルも利用可能

Anthropic統合は、2025年6月10日公開のバージョン22.0で追加された機能です(出典: Screaming Frog)。同記事は「OpenAI・Gemini・Ollamaの統合と同様に」という表現でAnthropicを紹介しています。つまりバージョン22.0以前は3プロバイダー体制だったことになります。

バージョン22.0では、セマンティック類似度分析という新機能も同時に追加されました。埋め込みベクトルを使い、文言が違っても意味が重なるページを検出する機能です(出典: 同上)。

この機能の設定場所はConfig > Content > Embeddingsです。ただし埋め込みの生成には、Config > API Access > AIで設定した同じプロバイダー連携を使います。AI連携機能と重複検出機能は、設定画面こそ別ですが土台を共有しています。

03AI連携機能の用途例、公式チュートリアルが挙げる9ケース

公式チュートリアル「How To Crawl With AI Prompts」によると、AI連携機能の代表的な用途は9件です(出典: Screaming Frog)。

  • alt textの生成
  • メタディスクリプションの生成
  • ページ言語の判定
  • ページ意図の分類(商用・情報提供の判定など)
  • 感情分析(ポジティブ・ネガティブ・ニュートラル・混在の4分類)
  • 不適切なコンテンツの検出
  • エンティティの抽出
  • データの抽出
  • ベクトル埋め込みの取得

9件のうち、そのまま鵜呑みにできないものが複数あります。メタディスクリプションの生成については、公開前に内容を精査するよう公式が明記しています(出典: 同上)。意図分類についても「完璧ではないため結果を慎重に確認することを推奨する」という注記が付いています。

感情分析はGoogleの自然言語APIと同じ分類方式を踏襲しています(出典: 同上)。分類はポジティブ・ネガティブ・ニュートラル・混在の4種類です。

エンティティ抽出とデータ抽出は近い機能に見えますが、公式チュートリアルは単純な抽出であればカスタム抽出機能の利用を推奨しています。理由は無料で高速だからです。プロンプトは、カスタム抽出だけでは対応できない自然言語の判断が必要な場面に向いています。

9ケースのうち公式が精査を推奨している用途の位置づけ AI連携機能の9用途を3行3列のグリッドで示し、公式チュートリアルが公開前の精査を明記するメタディスクリプション生成と意図分類をアンバー色、カスタム抽出機能との使い分けに注意が必要なエンティティ抽出とデータ抽出をティール色、それ以外の5用途を緑色で塗り分ける図。 9用途のうち、精査が必要なのはどれか alt textの生成 メタディスクリプション ページ言語の判定 意図分類 感情分析 不適切コンテンツ検出 エンティティ抽出 データ抽出 ベクトル埋め込み 公式が公開前の精査を明記 カスタム抽出との使い分けに注意 本文中に特記なし 意図分類は「完璧ではないため慎重に確認」と公式が注記 単純な抽出はカスタム抽出機能の方が無料で高速
9ケースのうち公式が精査を推奨している用途の位置づけ

04カスタムプロンプトは何本まで、設定の6ステップ

公式チュートリアルによると、カスタムプロンプトは「Prompt Configuration」タブから最大100件まで設定できます(出典: Screaming Frog)。ライブラリには参考用のプリセットプロンプトが約6件用意されています。設定したプロンプトはJSON形式でエクスポート・インポートでき、他のユーザーと共有できます。設定の流れは次の6ステップです。

  1. プロバイダーを選ぶ。入力はConfig > API Access > AIでの選択、期待される出力はプロバイダーのタブ表示
  2. APIキーを入力しConnectを押す。入力はAPIキー文字列、期待される出力は接続完了の表示(Ollamaはこの手順が不要)
  3. プロンプトを設定する。入力はプロンプト文と対象データ、期待される出力は最大100件までのプロンプト一覧
  4. Store HTMLを有効化する。入力はConfig > Spider > Extractionでの設定変更、期待される出力はPage Text/HTML利用時の警告消失
  5. プロンプトをテストする。入力はテスト対象URL、期待される出力は抽出結果とAIの応答プレビュー
  6. クロールを実行する。入力は対象サイトのURL、期待される出力はAIタブおよびInternalタブへのデータ反映

クレジットの浪費を避ける工夫もあります。Config > Segmentsでセグメントを作り、特定のissue(例えばMissing Alt Text)に一致するURLだけにプロンプトを絞り込めます(出典: 同上)。全画像にaltテキストを生成する代わりに、欠落している画像だけを対象にする設定です。

有料プロバイダーへの接続を独自に広げることもできます。OpenAIのエンドポイントをカスタマイズすると、次のような互換APIにも接続できます(出典: 同上)。

DeepSeek: https://api.deepseek.com
Grok: https://api.x.ai/
LM Studio(ローカル): http://localhost:1234/

05AI連携機能の出力精度はなぜ自社検証が前提になるか

公式チュートリアルは、用途ごとに精度への注意書きを添えています。意図分類は「LLMは完璧ではないため、結果を注意深く見直すことを推奨する」という表現です(出典: Screaming Frog)。alt text生成についても、ページ自体の文脈をAIが欠くことがあると但し書きがあります。

用途公式チュートリアルの位置づけ
alt textの生成文脈を欠くことがあるが、結果は概ね有用
メタディスクリプションの生成公開前の精査を明記(順位シグナルではないがCTRに影響するため)
意図分類完璧ではないため結果を慎重に確認するよう推奨
感情分析Googleの自然言語APIと同じ4分類方式を踏襲

この注意書きは、AI連携機能そのものの欠陥ではありません。生成AIを使った自動判定に共通する限界です。本誌が実行結果の精度を独自検証の対象と位置づけているのも、この公式の注記を踏まえた判断です。

自社サイトへの技術監査を実行し、実際の精度を検証するログ企画も検討しました。GUIアプリの操作が前提となるため、本記事ではAI社員による直接操作を伴う実行ログは扱っていません。実行結果を伴う検証記事は、鈴木さんまたは対話セッションによる操作後の後日企画として位置づけています。本記事は公式仕様に基づく活用設計の整理にとどめ、精度の断定は行いません。

レート制限にも注意が必要です。プロバイダーごとにRequests Per Minute(RPM)を設定できますが、Geminiの無料枠は有料枠より遅く制限も厳しいと案内されています(出典: 同上)。大量クロールで詰まる典型例は、この無料枠の制限に気づかずプロンプトを流し込むケースです。

06Screaming FrogのAI連携機能でつまずきやすい点

  • Store HTMLを有効化しないまま、Page TextやHTMLを対象にしたプロンプトを設定してしまう
  • バージョン22.0未満のままAnthropic連携を探し、メニューに項目が無いと誤解する
  • EmbeddingGemma等の埋め込み専用モデルをConfig > API Access > AIではなくOllama側の設定タブで探してしまう
  • クロール時に実行するAI連携機能と、バージョン24.0で追加されたSEO Spider MCPを混同する
  • Geminiの無料枠のレート制限に気づかず、大量クロールで処理が滞留する

バージョン24.0で追加されたSEO Spider MCPは、AI連携機能とは別の機能です(出典: Screaming Frog)。MCPはClaudeやLM Studioなど外部のAIチャットアシスタント側からSEO Spiderを自然言語で操作する経路です。一方、本記事で扱うAI連携機能はクロール中にプロンプトを実行する機能であり、操作の主体が逆になります。

AI連携機能とSEO Spider MCP、操作方向の違い SEO Spiderの箱を左に固定した2段組みの図。上段のAI連携機能はSEO Spiderから外部LLMへ矢印が右向きに伸び、SEO Spiderが主体であることを示す。下段のSEO Spider MCPは外部AIアシスタントからSEO Spiderへ矢印が左向きに伸び、外部AIが主体であることを示す。同じSEO Spiderの箱を軸に、操作の向きが逆であることが分かる。 TECHNICAL SEO AI連携機能とMCP、操作方向の違い ①AI連携機能(v22.0〜、クロール中に実行) SEO Spider 実行 外部LLM OpenAI・Gemini・Anthropic・Ollama SEO Spiderが主体 ②SEO Spider MCP(v24.0〜、外部から操作) SEO Spider 操作 外部AIアシスタント Claude・LM Studio等 外部AIが主体 同じSEO Spiderでも、機能によって操作の主体が逆になる
AI連携機能とSEO Spider MCP、操作方向の違い

重複検出の設定でも混同が起きやすいところです。従来からあるNear Duplicatesはテキストの一致率で判定します(出典: Screaming Frog)。既定のしきい値は90%で、設定はConfig > Content > Duplicatesから行います。

バージョン22.0で追加されたセマンティック類似度は、AI連携機能の埋め込みを使う別の仕組みです(出典: Screaming Frog)。既定のしきい値は95%で、下限50%まで調整できます。設定はConfig > Content > Embeddingsから行います。

しきい値の意味が違う2つの機能を混同すると、重複判定の解釈を誤ります。この2機能の使い分けは『テクニカルSEO監査の死角|重複URLを機械はどこで見失うか』で詳しく扱っています。

07Screaming FrogのAI連携機能 活用チェックリスト

  • 使いたい用途がAI連携機能の対応範囲(9ケース)に含まれているかを確認したか
  • Anthropicを使う場合、バージョン22.0以降であることを確認したか
  • Page Text/HTMLを使うプロンプトの前にStore HTMLを有効化したか
  • カスタムプロンプトの上限件数に収まっているか確認したか
  • メタディスクリプション・意図分類など精度に注意書きがある用途は、公開前レビューの工程を用意したか
  • クレジット浪費を避けるため、Segments機能で対象URLを絞り込んだか
  • Geminiの無料枠を使う場合、RPM制限を踏まえたクロール速度に調整したか
  • AI連携機能とSEO Spider MCPを混同していないか確認したか

08FAQ

Screaming FrogのAI連携機能はどこから設定しますか

「Config > API Access > AI」から設定します(出典: Screaming Frog)。プロバイダーの選択、APIキーの登録、プロンプトの設定までがこの1画面にまとまっています。

AI連携機能はどのプロバイダーに対応していますか

OpenAI・Gemini・Anthropic・Ollamaの4つに対応しています。Anthropicはバージョン22.0で追加された最も新しい統合です(出典: Screaming Frog)。

カスタムプロンプトは何件まで設定できますか

公式チュートリアルによると最大100件です(出典: Screaming Frog)。ライブラリには参考用のプリセットプロンプトも約6件用意されています。

AI連携機能の出力はそのまま公開してよいですか

推奨されません。公式チュートリアル自身が、メタディスクリプション生成や意図分類の結果は公開前に精査するよう案内しています。本誌もこの点を踏まえ、精度は自社検証の対象として扱っています。

AI連携機能とSEO Spider MCPは同じ機能ですか

異なります。AI連携機能はクロール中にプロンプトを実行する機能です。SEO Spider MCPはバージョン24.0で追加された、外部のAIアシスタントからSEO Spiderを操作する別の経路です(出典: Screaming Frog)。

重複コンテンツの検出にもAI連携機能は関わりますか

関わります。バージョン22.0で追加されたセマンティック類似度分析は、AI連携機能の埋め込みを使って意味の近さでページを比較します。従来のNear Duplicates(テキスト一致率90%基準)とは判定方法が異なります。

Ollamaを使えば無料でAI連携機能を試せますか

試せます。Ollamaはローカルで動く無料のフレームワークで、APIキーの登録が不要です(出典: Screaming Frog)。ただし処理速度や精度は、有料の外部LLMと同一水準とは限りません。自社の用途で実際に試し、精度を確認したうえで採用を判断します。