「検索してもサイトに来ない時代になった」。会議でこう言われて、根拠を確かめに来た方が多いのではないでしょうか。よりどころにされているのは、米国のGoogle検索でクリックなしに終わった検索が68.01%に達した、という調査結果です。
この数字は、たしかに実在します。ただし、見出しだけが独り歩きしやすい数字でもあります。どこの国の、どんな経路の検索を、いつ数えたものなのか。そこを押さえずに社内へ持ち込むと、あとで「日本でも同じなのか」と聞かれたときに答えられなくなります。
この記事では、報じられた数字が何を測ったものかを一次資料の本文で確かめ、そのうえで自社のデータで何を見ればよいかまで進みます。数字を否定する記事ではありません。正しい大きさで使えるようにするための記事です。会議で数字を出す側に立たされている方に向けて書きました。
こんなふうに調べていませんか
- 「ゼロクリック検索 割合 SparkToroデータ」で検索して、数字の中身を確かめたい
- 上司に見せられた調査結果を、そのまま自社に当てはめてよいか迷っている
この記事を読み終えたときに手に入るもの
- 68.01%が何を・いつ・どこで測った数字かを説明できるようになります
- この調査が測っていない範囲を、自分の言葉で挙げられるようになります
- 自社のSearch Consoleで見るべき指標が絞れるようになります
結論30秒でわかる、この記事の結論
- 68.01%は、米国のブラウザ経由のGoogle検索だけを対象にした集計値です。
- 増加分をAI検索の広がりだけで説明することはできません。利用率の小ささと合いません。
- 自社の話にするには、Search Consoleの表示回数とクリック数を並べて見る必要があります。
本記事は、Search Engine Landの記事本文とGoogle Search Consoleヘルプの公式ページ本文を2026-08-07に確認して書いています。記事には、用語の意味から確かめたい若葉さん、投資判断の立場から見る大森部長、答え役の鈴木さんが登場します。
01SEO担当が最初に見るゼロクリック検索の割合は、SparkToroデータでいくつですか?
大森部長検索の7割がクリックされないというのは、本当なのかね。
鈴木さん数字自体は報じられているとおりです。ただ、そのまま自社の話として読むと外します。まず、どこの国の何を数えた値なのかから見ていきましょう。
2026年1月から4月にかけて、米国のGoogle検索でクリックなしに終わった検索は68.01%に達したと報じられました。調査主体はSparkToroとSimilarwebで、対象は米国のみです(出典: Search Engine Land)。2024年の同種集計は60.45%で、7.56ポイント増えた計算になります。
調査の基本条件を先に置いておきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| データソース | Similarwebのクリックストリームパネル(デスクトップ・モバイルブラウザ) |
| 計測期間 | 2026年1月〜4月(比較対象は2024年同種集計) |
| 対象地域 | 米国のみ |
| 報道 | Search Engine Land(調査主体はSparkToro・Similarweb) |
この表の4行は、あとに出てくる話のすべての前提になります。数字を覚えるより、この4行を覚えたほうが実務では役に立ちます。
この章のまとめ
68.01%は米国のブラウザ経由の検索だけの集計値。前の集計は60.45%で、差は7.56ポイント。
02そもそもゼロクリック検索とは、SEOの世界で何を指す言葉ですか?
言葉の意味をそろえておきます。ゼロクリック検索とは、検索結果ページの中で回答が完結し、外部サイトへのクリックが発生しないまま検索が終わる状態を指します。言葉自体の詳しい定義は姉妹記事『ゼロクリック検索とは|検索結果内で完結する行動の定義』で扱っているので、本記事では数字の中身の検証に絞ります。
若葉さんクリックされない検索って、最近増えたものなんでしょうか。
鈴木さんいえ、昔からあります。天気を調べる、簡単な計算をする、言葉の意味を確かめる。こうした検索は、以前から検索結果の中で用が足りていました。
若葉さんつまり、ゼロクリックそのものは新しい現象ではない、ということですね?
ここを押さえておくと、あとで原因を考えるときに冷静でいられます。ゼロクリック検索という箱の中には、もとから結果画面で完結していた検索と、近年になって完結するようになった検索が混ざっています。箱ごと新しいわけではないのです。
この章のまとめ
ゼロクリック検索は、結果画面の中で用が足りて終わる状態。昔からある行動も含まれている。
03SparkToroデータは、どこの国のAI検索とSEOを測ったものですか?
対象範囲を、内側から外側へ順に確かめます。SparkToroとSimilarwebの調査は、Similarwebのクリックストリームパネルを使っています。対象は2026年1月から4月の米国Google検索です(出典: Search Engine Land)。集計の対象になった検索のうち、68.01%はどのリンクもクリックされずに終わっています。
言い換えると、この数字は次の条件を全部満たした場合の値です。米国であること、Google検索であること、ブラウザ経由であること、その期間であること。ひとつでも条件が違えば、同じ値になる保証はありません。
この章のまとめ
米国・Google検索・ブラウザ経由・特定期間。この4つが全部そろったときの値である。
04SparkToroデータが測っていない検索は、SEOの実務でどこに響きますか?
測っているものと同じくらい、測っていないものが大切です。この調査が捕まえているのは、Similarwebのパネルが記録できるブラウザ経由の検索だけです。Googleのモバイルアプリ内で完結する検索は、前提から除外されています(出典: Search Engine Land・方法論の説明を参照)。同記事も、検索の3分の2がモバイル・3分の1がデスクトップという仮定を置いていると明記しています。
大森部長除外されている部分が大きいなら、数字は当てにならないということか。
鈴木さんそうは考えていません。測れる範囲をはっきりさせたうえで出している数字なので、扱い方さえ間違えなければ有用です。危ないのは、範囲が書いてあるのに読み飛ばすほうです。
実務への響き方はこうです。自社の読者がアプリ経由の検索を多く使う層なら、この調査の値と自社の体感がずれる余地が大きくなります。逆に、業務中にパソコンから調べる層が中心なら、傾向としては近い動きが出やすいと考えられます。自社の読者がどの経路にいるかを先に思い浮かべてから、数字と突き合わせてください。
この章のまとめ
アプリ内で完結する検索は前提から除外。自社の読者がどの経路にいるかで、数字との距離が変わる。
05ゼロクリック検索の推移を、SEOのレポートにそのまま書いていいんですか?
推移として書くときには、もうひとつ注意が要ります。2024年と2026年の数値は、異なるデータプロバイダーの集計である可能性があり、単純な時系列比較には注意が必要だと同記事は述べています。
つまり、同じ物差しで測った前後比較だと言い切れないということです。長さの違う定規で測った値を並べて「伸びた」と言うと、伸びの一部が定規の違いに由来してしまいます。
この章のまとめ
前後比較は物差しがそろっていない可能性がある。傾向としての参照だと明記して使う。
06AI検索の表示率と利用率は、ゼロクリック検索の割合をどこまで説明しますか?
増えた理由をAI機能だけに求めたくなりますが、同じ調査の別の数字がそれを止めます。同じ調査(2026年1月〜4月)によると、AI Overviewsの表示率は20%超、AI Modeの利用率は0.34%です(出典: Search Engine Land)。
若葉さん表示率が20%を超えているなら、やっぱりAI Overviewsの影響が大きいのでは。
鈴木さん表示されることと、それでクリックが止まることは別の話です。加えて、AI Modeのほうは利用率がごくわずかです。ここだけで増加分を説明しようとすると、数字が合わなくなります。
原因は複数あると考えるのが自然です。もとから結果画面で完結していた検索、検索結果の情報量の増加、そしてAI機能。どれか1つを犯人に仕立てると、打ち手も1つに偏ります。原因を絞りすぎないことが、対策を間違えないための保険になります。
この章のまとめ
表示率は大きく、利用率は小さい。増加分をAI機能だけで説明すると数字が合わない。
07日本のSEOに、SparkToroデータのゼロクリック検索の割合をそのまま当てはめていいんですか?
当てはめられません。日本語圏には、同じ条件(対象国・計測期間・データソース)で集計した公開データが見当たらないからです。したがって、本記事のどの数字も「日本の検索も同じくらいがゼロクリック」という主張の根拠には使えません。
大森部長では、日本の実態は分からないということかね。
鈴木さん公開データの範囲では、同条件のものが見当たらないというのが正直なところです。分からないことを分からないまま扱うのは、後退ではありません。自社のデータで語る方向へ切り替える合図だと考えています。
ここで無理に「日本もおそらく同程度」と埋めてしまうと、その一文が資料の中で事実の顔をして残ります。数か月後に誰かが引用し、さらに別の資料へ運ばれていきます。推測は、書いた瞬間より運ばれたあとのほうが厄介です。
この章のまとめ
同条件の日本語圏データは見当たらない。国をまたいだ読み替えはしない。
08自社のクリック減は、ゼロクリック検索とAI検索のどちらのせいなんですか?
この調査単体では判断できません。68.01%は特定の集計方法で出た検索全体の平均値であり、個別サイト・個別クエリの実測ではないからです(出典: Search Engine Landの調査による集計値)。
判断の材料は自社側にあります。表示回数とクリック数を同じ期間で並べ、どちらがどう動いたかを見ます。
クリック数が減っていても、表示回数(露出)は増えている場合があります。この組み合わせのときだけ、結果画面の中で用が足りている疑いが立ちます。逆に、表示回数もクリック数も同じように減っているなら、原因は掲載面や順位の側にある可能性が高くなります。露出とクリックを両方並べて見る習慣が、原因の取り違えを防ぎます。
この章のまとめ
平均値では自社の増減を説明できない。表示回数とクリック数の組み合わせで読む。
09SparkToroデータのような見出しの数字を、SEO担当はどう確認すればいいんですか?
見出しの数字をそのまま信じる前に、確認する習慣を作っておくと安全です。
- 調査主体は誰か(報道した媒体と、調査を実施した組織は別のことが多い)
- 対象国・言語はどこか
- 計測期間はいつからいつまでか
- データソースは何か(検索エンジンの公式データか、第三者パネルの推計か)
この4点をたどる作業は、慣れれば短時間で終わります。今回の調査で言えば、報じたのはSearch Engine Land、実施したのはSparkToroとSimilarweb、対象は米国、期間は2026年1月〜4月、データソースは第三者のクリックストリームパネルです。ここまで言えれば、会議で聞かれても止まりません。
なお、SNSや一部の記事では、検索あたりの実クリック数をより細かい数字で示した情報も見かけます。今回参照した一次資料の本文にはその記載が見当たらなかったため、本記事では採用していません。見当たらないものは載せないという扱いを続けることが、媒体としての信用につながります。
この章のまとめ
主体・地域・期間・出どころ。この4点を毎回たどれば、見出しの誤読はほぼ防げる。
10Search Consoleでゼロクリック検索の兆候を見るには、SEOの4指標をどう並べますか?
自社のデータに移ります。Google Search Consoleの検索パフォーマンスレポートには4指標があります。表示回数・クリック数・CTR・平均掲載順位です(出典: Search Consoleヘルプ(検索パフォーマンス))。ゼロクリック率そのものは表示されません。
ただし、表示回数に対してクリック数がどれだけ少ないかを見れば、近い動きを自社データで確認できます。CTRは、まさにその比率を表した指標です。
見るべきものを絞っておきます。通常の検索パフォーマンスレポートで、表示回数に対するクリック数とCTRの推移。そして、順位は高いのにクリックが少ないクエリの有無。この2つが、自社にとってのゼロクリックの兆候にあたります。
この章のまとめ
Search Consoleにゼロクリック率は無い。表示回数・クリック数・CTR・順位の組み合わせで代用する。
11生成AIパフォーマンスレポートは、ゼロクリック検索の割合を測れるんですか?
測れません。役割が違うためです。Search Engine Landは2026年6月3日、Search Consoleに生成AI機能向けの専用レポートが加わったと報じました(出典: Search Engine Land)。
この生成AIパフォーマンスレポートの対象は、AI OverviewsとAI Modeのインプレッション数のみです(出典: Search Consoleヘルプ生成AI版)。クリック数は含まれません。
若葉さんクリックが入っていないなら、ゼロクリックの計算はできませんね。
鈴木さんそうなんです。ただ、露出側の数字が別に取れるのは意味があります。通常のレポートのクリックと並べれば、露出だけが伸びている状態を見つけやすくなります。
自社のアカウントで利用できるかどうかは、確認しておく価値があります。使えるなら、AI Overviews・AI Modeでのインプレッション数の推移を、通常レポートの数字と並べて眺めてください。片方だけでは向きが分からないという点は、この記事を通して変わりません。
この章のまとめ
生成AI向けの画面は露出だけを持つ。ゼロクリック率の算出には使えないが、露出側の材料にはなる。
12ゼロクリック検索の割合を、SparkToroデータに頼らずSEOの現場でどう説明しますか?
最後に、社内での話し方を整理します。外部の調査値は「世の中の空気を伝える材料」、自社のSearch Consoleは「自分たちの現実を測る材料」。この2つを分けて話すだけで、会議の混乱はかなり減ります。
伝える順番も決めておくと楽です。まず自社の表示回数とクリック数の動きを見せます。次に、外部調査の値を参考として添えます。最後に、次に何を確かめるかを1つだけ置きます。外部の数字から入ると、自社の話に戻ってこられなくなりがちです。
この章のまとめ
外部調査は空気の共有、自社データは現実の測定。役割を宣言してから並べる。
13よくある質問
ゼロクリック検索とは何ですか
検索結果ページの中で回答が完結し、外部サイトへのクリックが発生しないまま検索が終わる状態を指します。天気や計算のように、以前から結果画面で用が足りていた検索も含まれます。
ゼロクリック検索の68.01%という数字は日本にも当てはまりますか
当てはまるとは言えません。この数字は米国のGoogle検索だけを対象にした集計です(出典: Search Engine Land・2026年1月〜4月・米国限定)。日本語圏で同条件のデータは見当たらないため、本記事では両者を混同しないよう明記しています。
ゼロクリック検索が増えた主な原因はAI Overviewsですか
AI Overviewsは一因ですが、唯一の説明にはなりません。同じ調査(2026年1月〜4月)によると、AI Overviewsの表示率は20%超、AI Modeの利用率は0.34%です(出典: Search Engine Land)。ゼロクリックには、天気・計算・辞書的な検索など、以前から回答が完結していた検索も含まれます。
自社のクリック数減少は、このデータの影響と言えますか
この調査単体では判断できません。自社のクエリ別データをSearch Consoleで確認し、表示回数とクリック数の推移を見る必要があります。表示回数が増えたままクリックだけが減っているかどうかが、最初の分かれ目です。
モバイルアプリ内の検索もこの数字に含まれますか
含まれません。Search Engine Landの記事は、Googleのモバイルアプリ内で完結する検索を前提から除外していると明記しています。対象はブラウザ経由の検索だけです。
ゼロクリック検索の割合を自社で計算する方法はありますか
Search Consoleの標準レポートだけでは算出できません。表示回数に対するクリック数の少なさを目安にし、生成AIパフォーマンスレポートのインプレッションも併せて確認します。
2024年からの増加幅は、そのまま資料に書いていいですか
そのまま書くのは避けたほうが安全です。集計主体が異なる可能性があると同記事が述べているため、傾向としての参照である旨を添えてください。
14まとめ|今日やる3つのこと
今日この順でやります
Search Consoleで表示回数とクリック数を並べる
同じ期間で、どちらがどう動いたかだけを見ます
CTRの落ちているクエリを拾う
順位は保っているのにクリックが伸びない語を探します
外部調査の値は役割を宣言して出す
米国の集計値であること、傾向の共有であることを先に言います
AI検索では、こう聞かれています
ゼロクリック検索の割合はいまどれくらいですか?
「SEO担当が最初に見るゼロクリック検索の割合は、SparkToroデータでいくつですか?」の章で、調査の基本条件とあわせて示しています
68.01%という数字は日本にも当てはまりますか?
「日本のSEOに、SparkToroデータのゼロクリック検索の割合をそのまま当てはめていいんですか?」の章で理由を書いています
ゼロクリック検索が増えた原因はAI Overviewsですか?
「AI検索の表示率と利用率は、ゼロクリック検索の割合をどこまで説明しますか?」の章で、同じ調査の別の数字と突き合わせています
次に読むなら、この記事です