「AI OverviewsでCTRが34.5%落ちた」という数字を見たことはありませんか。この数字は、Ahrefsが2025年4月に公開した調査に基づきます(出典: Ahrefsの調査・2025-04-17公開)。ただしこの34.5%は、Web全体やあらゆる検索意図に当てはまる数字ではありません。何を測り、何を測っていないかを一次情報から確認します。

この記事で分かることは次の3点です。

  • Ahrefsの調査で検索結果ポジション1のCTRがどう動き、34.5%という数字がどう計算されたか
  • この調査が「情報検索意図・デスクトップ・米国データ」という条件に限定されている理由
  • 自社のGoogle Search ConsoleでCTR低下を確認する3つの手順

検証環境:Ahrefs公式ブログ本文・Google Search Consoleヘルプ公式ページ本文 / 2026-08-07確認

01Ahrefsが測ったもの|informational KW30万件のCTR低下

Ahrefsは、情報検索意図のキーワード30万件を対象に、Google Search Consoleデータを集計しました(出典: Ahrefsの調査・2025-04-17公開)。内訳は、AI Overviews表示ありが15万件、表示なしが15万件です。指標は、クリック数合計をインプレッション数合計で割った月次の平均デスクトップCTRです。

対象期間は、2024年3月(米国でAI Overviewsが展開される前)と2025年3月(展開後)です。Ahrefsの調査によると、検索結果ポジション1のCTRは、情報検索意図キーワード全体で5.6%から3.1%へ下がりました。同じ調査で、AI Overviews表示ありのキーワードに絞ると7.3%から2.6%まで下がっています。

項目内容
対象キーワード数30万件(AI Overviews表示あり15万件・表示なし15万件)
データソースGoogle Search Console集計
比較期間2024年3月 と 2025年3月
指標月次の平均デスクトップCTR(ポジション1)

0234.5%のCTR低下はどう計算されたか|予測値と実測値の差

Ahrefsは、AI Overviewsが無かった場合に予測されるCTRを算出し、実測のCTRと比較しています(出典: Ahrefsの調査・2025-04-17公開)。予測CTRは4.0%、実測CTRは2.6%で、この差からAhrefsは34.5%低いと算出しています。単純な前年同月比ではありません。

この34.5%を、7.3%から2.6%への単純な変化率と混同しないでください。この2つの実測値の差を単純計算すると約64%の低下になりますが、これはAhrefsの公表値ではなく、本誌が2つの実測値から算出した参考値です。

34.5%はどう計算されたか 2024年3月のAI Overviews表示ありキーワードのポジション1CTR7.3%を起点に、2025年3月時点で「AI Overviewsが無かった場合の予測CTR4.0%」と「実際に観測された実測CTR2.6%」の2つへ分岐する様子を示す図。下部の注記で、この予測値と実測値の差から34.5%低いと算出されていることを説明している。 34.5%はどう計算されたか 予測CTRと実測CTRの差から算出された数字 2024年3月 AIOV表示ありKW ポジション1CTR 7.3% 2025年3月・予測 AI Overviewsが無い場合 予測CTR 4.0% 2025年3月・実測 AI Overviews表示あり 実測CTR 2.6% 予測4.0%と実測2.6%の差から、Ahrefsは34.5%低いと算出しています
34.5%はどう計算されたか|2024年3月を起点に「予測CTR4.0%」と「実測CTR2.6%」へ分岐する2025年3月時点の比較

03この調査で言えること・言えないこと|情報検索意図・デスクトップ・米国という条件

この調査で言えるのは、情報検索意図・デスクトップという条件に限定したCTR低下率です(出典: Ahrefsの調査・2025-04-17公開)。計測期間は、米国でAI Overviewsが展開される前後を基準にしています。米国のデスクトップ検索が対象のため、日本の検索結果にそのまま当てはめることはできません。

言えないことも明確です。モバイルでの傾向、商業・トランザクション検索意図での傾向は対象外です。個々のサイトごとの影響も、集計データのため見えません。

対象(言える)対象外(言えない)
検索意図情報検索意図(informational intent)商業・トランザクション検索意図
デバイスデスクトップモバイル
地域主に米国日本を含むその他の地域
粒度30万件の集計値・傾向個々のサイト単位の影響
この調査の対象範囲|3つの境界線 Ahrefsの調査が対象とする範囲を、検索意図・デバイス・地域の3つの軸で「対象(言える)」と「対象外(言えない)」に分けて示す図。検索意図は情報検索意図が対象で商業・トランザクション意図は対象外、デバイスはデスクトップが対象でモバイルは対象外、地域は主に米国が対象で日本を含む他地域は対象外であることを表す。 この調査の対象範囲 検索意図・デバイス・地域という3つの境界線 検索意図 対象:情報検索意図 informational intent 対象外 商業・トランザクション意図 デバイス 対象:デスクトップ 月次の平均CTRを集計 対象外 モバイル 地域 対象:主に米国 AI Overviews展開前後で比較 対象外 日本を含む他地域 3つの軸のどれか1つでも「対象外」に該当するなら、34.5%を自社にそのまま当てはめない
この調査の対象範囲|検索意図・デバイス・地域という3つの境界線

情報検索意図のクエリで、デスクトップ中心のアクセスを集めているサイトなら、この34.5%は参考になります。トランザクション意図が中心のサイトでは、この数字を当てはめる根拠はありません。

04CTR低下データを自社の判断にどう使うか|実務への影響

34.5%という数字は、「自社のCTRも同じだけ下がっているはずだ」という予測には使えません。あくまで、情報検索意図・デスクトップという条件下でCTRが下がる傾向の裏付けです。社内説明では、体感ではなく条件付きの一次データとして提示できる点に価値があります。

特に注意したいのは、ポジション1という上位表示のクエリでもCTRが下がっている点です(出典: Ahrefsの調査・2025-04-17公開)。順位を上げる施策だけでは、この低下を打ち消せない可能性があります。情報検索意図のクエリでは、AI Overviewsに情報を使われている可能性を検討してください。

一方で、トランザクション意図のクエリについて、この調査は何も示していません。CTR低下への対応リソースは、自社のクエリ群を検索意図で分類してから配分することをおすすめします。

05自社のSearch ConsoleでCTR低下を確認する3つの手順

海外調査の34.5%を自社の数字としてそのまま使わず、まず自社のGoogle Search Consoleで同じ切り口を確認してください。

  1. 検索パフォーマンスレポートを開き、クエリのフィルタで「カスタム(正規表現)」を選びます(出典: 検索パフォーマンス レポート)。「とは」「使い方」「方法」等を含む情報検索意図のクエリを抽出します。確認できるのは、抽出後のクリック数・表示回数・CTR・平均掲載順位です。
  2. 掲載順位のフィルタでポジション1のクエリだけに絞り込みます。期間を「1年前と比較」に切り替え、Ahrefsの計測時期(2024年3月・2025年3月)に近い月同士でCTRを比較します。
  3. 生成AIパフォーマンスレポートもあわせて確認します(出典: 生成 AI パフォーマンス レポート(検索))。このレポートにはクリック数とCTRが含まれないため、表示回数の推移だけを確認する用途に限定してください。

3点とも数字が動いていれば、Ahrefsの調査結果を自社の状況に引きつけて説明できます。動いていなければ、原因は順位変動や季節要因など別にある可能性が高くなります。

06FAQ

AhrefsのCTR低下34.5%は、日本のサイトにも当てはまりますか

当てはまるとは限りません。Ahrefsの調査は米国のデスクトップ検索を対象にしており(出典: Ahrefsの調査・2025-04-17公開)、日本市場のデータではないためです。

34.5%というCTR低下率はどうやって計算されていますか

AI Overviewsが無かった場合の予測CTR4.0%と、実際のCTR2.6%を比較して算出された数字です(出典: Ahrefsの調査・2025-04-17公開)。

モバイルでもCTR低下は起きていますか

この調査からは分かりません。Ahrefsの集計はデスクトップ限定であり、モバイルでの傾向は対象外です。

商品購入やサービス比較を狙うクエリでもCTR低下は起きますか

この調査は情報検索意図のクエリに限定されており、商業・トランザクション検索意図のクエリは対象に含まれていません。

自社サイトのCTR低下を確認するには何を見ればよいですか

Google Search Consoleの検索パフォーマンスレポートで、掲載順位をポジション1に絞り込み、情報検索意図のクエリだけのCTR推移を前年同期と比較します。

CTR低下の原因はAI Overviewsだと断定できますか

断定はできません。集計データの傾向であり、個々の低下要因は順位変動や季節要因など複数考えられます。自社のインプレッション数や掲載順位もあわせて確認してください。