「AI OverviewsでCTRが34.5%落ちた」。この一文を社内の資料やSNSで見たことがある方は多いと思います。数字にインパクトがあるぶん、そのまま引用されて広がりました。

ただ、この数字を自社の目標や見通しに使う前に、確かめておきたいことがあります。その34.5%は、誰の、どんな条件のデータなのか。同じ「CTRが下がった」でも、測った範囲が違えば、意味はまったく変わります。

この記事では、数字の出どころをたどり、この調査で言えることとこの調査では言えないことを分けます。そのうえで、自社のSearch Consoleで同じ切り口を確かめる手順まで進みます。数字を否定する記事ではなく、使える場所と使えない場所を線引きするための記事です。

こんなふうに調べていませんか

  • 「CTR低下 informational KW」で検索して、数字の根拠を確かめたい
  • 社内で34.5%という数字を共有していいのか、判断がつかない

この記事を読み終えたときに手に入るもの

  • 34.5%がどう計算された数字かを、人に説明できるようになります
  • この調査で言えること・言えないことを、条件ごとに切り分けられます
  • 自社のSearch Consoleで同じ切り口を確かめる手順が分かります

結論30秒でわかる、この記事の結論

  • 34.5%は、情報検索意図のキーワードに絞った、デスクトップ・米国のデータです。Web全体の数字ではありません。
  • 計算は、単純な前年同月比ではありません。AI Overviewsが無かった場合の予測CTRと、実測CTRの差から出しています。
  • 自社に当てはめる前に、Search Consoleで同じ切り口を見てください。動いていなければ、原因は別にあります。
その数字は、どこまで自分の話でしょうか使える場所と使えない場所を、先に線引きしますその数字は、どこまで自分の話でしょうか誰の話知るための検索に限った話買う検索は入っていないどう測った引き算ではなく差し引き届いたはずの高さと比べている次の一手自分の管理画面で同じ形を作る外の数字は物差しにする鈴木さん使える場所と使えない場所を、先に線引きします
その数字は、どこまで自分の話でしょうか — 使える場所と使えない場所を、先に線引きします

本記事の内容は2026-08-07に、Ahrefs公式ブログ本文とGoogle Search Consoleヘルプ公式ページ本文で確認したものです。会話には、Web担当の若葉さん、実行と工数を預かる高梨課長、投資判断を見る大森部長、そして答える側の鈴木さんが登場します。

01informational KWのCTR低下は、SEOの現場で何が起きているサインですか?

若葉さん
若葉さんの発言

CTRが34.5%下がったと聞きました。うちのサイトも、そのくらい落ちているということでしょうか。

鈴木さん
鈴木さんの発言

そこは切り分けが要ります。この数字はある特定の条件で集めたデータの傾向であって、どのサイトにも当てはまる係数ではありません。まず、何を測った数字なのかから見ていきましょう。

はじめに、この数字が置かれている場所を確認します。もとになっているのは、Ahrefsが2025年4月に公開した調査です(出典: Ahrefsの調査・2025-04-17公開)。

この調査が扱っているのは、情報検索意図(informational intent)のキーワードです。「〜とは」「〜の方法」のように、買うためではなく知るために打ち込まれる検索語のことです。ここが最初の線引きになります。

SEOの現場でこの数字が意味を持つのは、同じ性質のクエリで流入を作っているサイトに限られます。逆に言えば、比較検討や申し込みにつながるクエリが中心のサイトでは、この数字を根拠にした説明は成り立ちません。

この章のまとめ

34.5%は情報検索意図のキーワードの話。自社の主要クエリが同じ性質かどうかを先に見る。

02Ahrefsが測ったinformational KWのCTR低下は、SEOの何を根拠にしているんですか?

Ahrefsは、情報検索意図のキーワード30万件を対象に、Google Search Consoleのデータを集計しました(出典: Ahrefsの調査・2025-04-17公開)。内訳は、AI Overviews表示ありが15万件、表示なしが15万件です。

指標は、クリック数の合計をインプレッション数の合計で割った、月次の平均デスクトップCTRです。個々のサイトのCTRを平均したものではありません。分子と分母をそれぞれ足し上げてから割る形なので、規模の大きいキーワードの影響が強く出ます。

対象期間は、2024年3月と2025年3月です。前者は米国でAI Overviewsが展開される前、後者は展開後にあたります。

項目内容
対象キーワード数30万件(AI Overviews表示あり15万件・表示なし15万件)
データソースGoogle Search Console集計
比較期間2024年3月 と 2025年3月
指標月次の平均デスクトップCTR(ポジション1)

Ahrefsの調査によると、検索結果ポジション1のCTRは、情報検索意図キーワード全体で5.6%から3.1%へ下がりました。同じ調査で、AI Overviews表示ありのキーワードに絞ると、7.3%から2.6%まで下がっています。

落ち幅は、出発点の高さとセットで見ます同じ順位でも、下がる前の高さが違います落ち幅は、出発点の高さとセットで見ます同じ順位でも、下がる前の高さが違います展開前 情報意図ぜんぶ5.6%展開後 情報意図ぜんぶ3.1%展開前 AI要約が出る側7.3%展開後 AI要約が出る側2.6%高いところから落ちたのか、低いところから少し動いたのかを見分けてください。
落ち幅は、出発点の高さとセットで見ます — 同じ順位でも、下がる前の高さが違います
高梨課長
高梨課長の発言

表示ありのほうが、もともと高かったんですね。

鈴木さん
鈴木さんの発言

はい、そこは見落とされやすい点です。下がり幅の大きさは、出発点の高さも含めて見る必要があります。低いところから少し下がったのか、高いところから大きく落ちたのかで、受け取り方が変わりますから。

この章のまとめ

測ったのは月次の平均デスクトップCTR。合計を合計で割る集計なので、規模の大きいキーワードの影響が強く出る。

0334.5%のCTR低下は、AI検索の影響としてどう計算された数字なんですか?

ここが、この記事でいちばん誤解されている部分です。

Ahrefsは、AI Overviewsが無かった場合に予測されるCTRを算出し、実測のCTRと比較しています(出典: Ahrefsの調査・2025-04-17公開)。予測CTRは4.0%、実測CTRは2.6%です。この差から、Ahrefsは34.5%低いと算出しています。

つまり単純な前年同月比ではありません。「去年より何%減った」という引き算ではなく、「そのままなら届いていたはずの水準から、どれだけ届かなかったか」という測り方です。

引き算で出す数字と、差し引きで出す数字どちらも正しいのに、意味がまったく違います引き算で出す数字と、差し引きで出す数字どちらも正しいのに、意味がまったく違います去年と引き算する季節の波もまとめて入る順位が動いた分も入る需要そのものの増減も入る原因を1つに絞れない届いたはずの高さと比べる基準線を先に引くそこからのズレだけを見る他の揺れをそろえられるそのかわり推計が入る鈴木さん測り方が違う数字を、並べて大小を比べないでください
引き算で出す数字と、差し引きで出す数字 — どちらも正しいのに、意味がまったく違います

この章のまとめ

34.5%は、予測CTRと実測CTRの差から出した数字。前年同月比ではないので、他の数字と並べない。

04予測CTRと実測CTRを比べる測り方は、生成AIの時代に何を避けるためのものですか?

なぜAhrefsは、わざわざ予測値を立てたのでしょうか。ここを理解すると、数字の性格が見えてきます。

前年同月と単純に比べると、AI Overviews以外の要因もすべて混ざります。季節性、順位の変動、検索需要そのものの増減。それらを含んだ差分を「AIのせい」と呼ぶことはできません。

予測値を立てて実測と比べる形にすると、「AI Overviewsが無かったとしたら、この水準だったはず」という基準線ができます。そこからのズレを見るので、他の要因の影響をある程度そろえた比較になります。

大森部長
大森部長の発言

それは、推計が入っているということだろう。数字として信じていいのか。

鈴木さん
鈴木さんの発言

推計は入っています。ですから桁や向きの参考にはなりますが、自社の目標値の根拠にはしにくい性格の数字です。生成AIの登場で何が起きているかを掴むための材料、という位置づけで扱うのが安全だと考えています。

この章のまとめ

予測値と比べるのは、季節や順位変動を混ぜないため。ただし推計が入るので、目標値の根拠には使わない。

05モバイルや商業意図のクエリは、AI検索最適化の話としてこの調査に含まれますか?

含まれていません。この調査が言えるのは、情報検索意図・デスクトップという条件に限定したCTR低下率です(出典: Ahrefsの調査・2025-04-17公開)。

言えないことも、はっきりしています。モバイルでの傾向、商業・トランザクション検索意図での傾向は対象外です。個々のサイトごとの影響も、集計データである以上は見えません。

軸対象(言える)対象外(言えない)
検索意図情報検索意図(informational intent)商業・トランザクション検索意図
デバイスデスクトップモバイル
地域主に米国日本を含むその他の地域
粒度集計値としての傾向個々のサイト単位の影響
数えた場所は、四つのうちの一つだけです残りの3つは、良くも悪くも分かっていません数えた場所は、四つのうちの一つだけです残りの3つは、良くも悪くも分かっていませんここを数えたこの記事の数字が指している唯一の場所数えていない取引に向かう検索は集計の外数えていない小さい画面での動きは集計の外二重に外側目的も画面も、どちらも範囲の外見ていた画面 →(スマホ / パソコン)検索の目的 →(知りたい / 買いたい)
数えた場所は、四つのうちの一つだけです — 残りの3つは、良くも悪くも分かっていません
若葉さん
若葉さんの発言

対象外というのは、「影響が無い」ということですか。

鈴木さん
鈴木さんの発言

いいえ、「この調査からは分からない」という意味です。ここを言い換えてしまうと、根拠のない安心にも、根拠のない不安にもつながります。分からないことは、分からないまま扱ってください。

この章のまとめ

モバイル・商業意図・個社の影響は対象外。対象外は「影響が無い」ではなく「この調査からは分からない」。

06米国のデスクトップという条件を、日本のSEOにそのまま当てはめていいんですか?

そのまま当てはめる根拠はありません。計測は、米国でAI Overviewsが展開される前後を基準にしています。米国のデスクトップ検索が対象である以上、日本の検索結果へ機械的に持ち込むことはできません。

とはいえ、まったく無関係というわけでもありません。情報検索意図のクエリで、デスクトップ中心のアクセスを集めているサイトであれば、傾向として参考になります。逆に、スマートフォンからの流入が大半を占め、取引意図のクエリが中心のサイトでは、この数字を当てはめる足場がありません。

この章のまとめ

日本へ機械的には当てはめられない。ただし情報検索意図・デスクトップ中心のサイトなら傾向として参考になる。

07ポジション1でもCTR低下が起きるなら、SEOの順位施策は無駄になるんですか?

無駄になる、という話ではありません。ただ、順位を上げる施策だけでは打ち消せない可能性があるという論点は、正面から受け止める必要があります。

この調査で注目したいのは、ポジション1という上位表示のクエリでもCTRが下がっている点です(出典: Ahrefsの調査・2025-04-17公開)。順位という指標だけを追いかけていると、順位は維持できているのに流入が減るという状況を説明できません。

大森部長
大森部長の発言

順位が保てているのに数字が落ちるなら、報告のどこを見ればいいんだ。

鈴木さん
鈴木さんの発言

表示回数・順位・CTRを、同じ画面で並べて見る形にしておくのが有効だと考えています。順位だけの報告では、この変化は見えません。

情報検索意図のクエリでは、AI Overviewsに情報を使われている可能性を検討してください。一方で、トランザクション意図のクエリについて、この調査は何も示していません。CTR低下への対応リソースは、自社のクエリ群を検索意図で分類してから配分するのが現実的です。

この章のまとめ

順位施策が無駄なのではなく、順位だけでは説明できない変化がある。クエリを検索意図で分類してから手を配る。

08informational KWのCTR低下を、自社のSearch ConsoleでどうAI活用の判断につなげますか?

海外調査の数字を自社の数字として使わず、まず自社のGoogle Search Consoleで同じ切り口を確認してください。順番はこうなります。

  1. 検索パフォーマンスレポートを開き、クエリのフィルタで「カスタム(正規表現)」を選びます(出典: 検索パフォーマンス レポート)。「とは」「使い方」「方法」等を含む、情報検索意図のクエリを抽出します。確認できるのは、抽出後のクリック数・表示回数・CTR・平均掲載順位です。
  2. 掲載順位のフィルタで、ポジション1のクエリだけに絞り込みます。期間を「1年前と比較」に切り替え、Ahrefsの計測時期(2024年3月・2025年3月)に近い月同士でCTRを比較します。
  3. 生成AIパフォーマンスレポートもあわせて確認します(出典: 生成 AI パフォーマンス レポート(検索))。
母集団をそろえてから、順位をそろえます逆にすると、比べているものが途中ですり替わります母集団をそろえてから、順位をそろえます逆にすると、比べているものが途中ですり替わります1知るための検索だけを取り出す取り出した条件は、そのまま控えておきます2いちばん上に出た分だけに寄せる他の順位が混ざると、話がぼやけます3去年の同じ時期と重ねる動いていなければ、原因は別の場所にあります
母集団をそろえてから、順位をそろえます — 逆にすると、比べているものが途中ですり替わります

この順番には理由があります。先に母集団をそろえてから、順位をそろえる。逆にすると、比べているものが違うまま数字だけが並びます。抽出条件を決めずに前年と比較しても、それは調査と同じ切り口にはなりません。

この章のまとめ

自社で確かめる順番は、情報検索意図の抽出 → ポジション1に絞る → 前年と突き合わせる。抽出条件は残す。

09生成AIパフォーマンスレポートは、AI検索の何を見せてくれるんですか?

見られるものと、見られないものがあります。ここを取り違えると、確認作業そのものが空回りします。

このレポートにはクリック数とCTRが含まれません(出典: 生成 AI パフォーマンス レポート(検索))。したがって、表示回数の推移だけを確認する用途に限定してください。

高梨課長
高梨課長の発言

CTRが見られないのに、確認する意味はありますか。

鈴木さん
鈴木さんの発言

あります。表示回数が動いているかどうかだけでも、変化が起きている場所の当たりがつくからです。CTRの比較は検索パフォーマンスレポート側で行い、こちらは別の役割として使ってください。

この章のまとめ

生成AIパフォーマンスレポートにはクリック数とCTRが無い。表示回数の推移を見る用途に限定する。

10社内説明でCTR低下の数字を出すとき、SEOの説明としてどこまで言えますか?

最後に、社内で使うときの言い方を整理します。

34.5%という数字は、「自社のCTRも同じだけ下がっているはずだ」という予測には使えません。あくまで、情報検索意図・デスクトップという条件下でCTRが下がる傾向の裏付けです。体感ではなく、条件付きの一次データとして提示できる点に価値があります。

同じ数字でも、添える言葉で強さが変わります条件を落とすと、聞いた人が自由に広げてしまいます同じ数字でも、添える言葉で強さが変わります条件を落とすと、聞いた人が自由に広げてしまいますそのまま言うとクリックが3割以上減るらしいうちも同じくらい落ちているはず上位を取っても意味がない条件を添えて言うと知るための検索に限った海外の集計ですうちの管理画面では同じ動きが出ています上位の価値は残るが、順位だけでは測れません
同じ数字でも、添える言葉で強さが変わります — 条件を落とすと、聞いた人が自由に広げてしまいます

自社のSearch Consoleで確かめた結果とセットにすると、説明は一段強くなります。3点とも数字が動いていれば、Ahrefsの調査結果を自社の状況に引きつけて説明できます。動いていなければ、原因は順位変動や季節要因など別にある可能性が高くなります。

大森部長
大森部長の発言

つまり、外の数字だけで報告するなということだな。

鈴木さん
鈴木さんの発言

そのとおりです。外の数字は、自社の数字を読むための物差しとして使ってください。物差しだけを見せられても、投資の判断はできませんから。

この章のまとめ

外の数字は物差し。自社データとセットにして初めて、社内の判断材料になる。

11よくある質問

AhrefsのCTR低下34.5%は、日本のサイトにも当てはまりますか

当てはまるとは限りません。Ahrefsの調査は米国のデスクトップ検索を対象にしており(出典: Ahrefsの調査・2025-04-17公開)、日本市場のデータではないためです。情報検索意図・デスクトップ中心のサイトであれば、傾向としての参考にはなります。

34.5%というCTR低下率はどうやって計算されていますか

AI Overviewsが無かった場合の予測CTR4.0%と、実際のCTR2.6%を比較して算出された数字です(出典: Ahrefsの調査・2025-04-17公開)。前年同月比の引き算ではありません。

モバイルでもCTR低下は起きていますか

この調査からは分かりません。Ahrefsの集計はデスクトップ限定であり、モバイルでの傾向は対象外です。分からないことを、影響が無いことと言い換えないでください。

商品購入やサービス比較を狙うクエリでもCTR低下は起きますか

この調査は情報検索意図のクエリに限定されており、商業・トランザクション検索意図のクエリは対象に含まれていません。そのため、この調査を根拠に説明することはできません。

自社サイトのCTR低下を確認するには何を見ればよいですか

Google Search Consoleの検索パフォーマンスレポートで、掲載順位をポジション1に絞り込み、情報検索意図のクエリだけのCTR推移を前年同期と比較します(出典: 検索パフォーマンス レポート)。

CTR低下の原因はAI Overviewsだと断定できますか

断定はできません。集計データの傾向であり、個々の低下要因は順位変動や季節要因など複数考えられます。自社のインプレッション数や掲載順位もあわせて確認してください。

12まとめ|今日やる3つのこと

今日この順でやります

  1. 主要クエリの性質を見る

    自社の流入が「知るための検索」に寄っているかを確かめます。ここが薄いなら、この調査は説明材料になりません

  2. Search Consoleで同じ切り口を作る

    情報検索意図のクエリを抽出し、ポジション1に絞ってから前年と比べます

  3. 数字に条件を添えて共有する

    34.5%を出すときは、検索意図・デバイス・地域という条件を必ず一緒に書きます

AI検索では、こう聞かれています

  • AI OverviewsでCTRが34.5%下がったというのは本当ですか?

    「34.5%のCTR低下は、AI検索の影響としてどう計算された数字なんですか?」の章で、計算の中身を説明しています

  • CTR低下の調査は日本のサイトにも当てはまりますか?

    「米国のデスクトップという条件を、日本のSEOにそのまま当てはめていいんですか?」の章で、当てはめられる条件を整理しています

  • 自社サイトのCTR低下をSearch Consoleで確認するにはどうすればいいですか?

    「informational KWのCTR低下を、自社のSearch ConsoleでどうAI活用の判断につなげますか?」の章に手順があります

次に読むなら、この記事です